そしがやの通っている小説教室には、いろいろな職業の生徒が来ています。
みなプロの作家を目指しています。
会社員が多いのですが、一般的には、恵まれた仕事だと考えられている医師や歯科医の人もいます。
10年ほど前にデビューして、本を100冊ほど出版している元開業医もいます。
当初は、医師と作家を兼業していたのですが、無理だと悟ったのか、数年前には、開業医を廃業して、作家専業になっています。
実績があるので、医師を辞めるという決断をしたのでしょう。
そしがやは、仕事をしているころには、作家デビューしたら、公務員を辞めるつもりでいました。
ですが、教室に来ている編集者に聞くと、デビューしてもすぐには、仕事は辞めないほうがいいと言われました。
作家は、デビューしても、作家であり続けることは難しいと言うのです。
確かに5年経つと95%の作家は消えてしまいます。
生き残りの厳しい業界です。
現在は、仕事をリタイアしたので、仮に作家デビューしても辞めるという問題はありませんが。
さて、最近デビューした人の中に開業医の人がいます。
40歳代の男性で医師としても油の乗り切った年代です。
そしがやよりもあとに教室に入った人です。
もともと才能があったのでしょう。
あれよ、あれよという間に新人賞を獲り、小説家デビューしてしまいました。
もうすでに何冊か本を出して、テレビドラマの原作になったものもあります。
しかし、正直言って、まだ安定的な収入があるようには、思えません。
開業医という安定した仕事を辞めるのはまだまだ先のことだと予想していました。
同じ開業医からデビューし、10年近く小説家をやって、実績を作ってから開業医を廃業した人を見ているので、彼が開業医を辞めるのは、大分先だと思っていました。
ですが、先日、会ったら、開業医を廃業したとのこと。
大分驚きました。
安定していて、社会的にも尊敬される仕事を辞めて、筆一本で生活する決意をしたのです。
リスクのある選択だと感じました。
先輩の元開業医のように10年近く兼業でやって行った方が、間違いないように思えたからです。
でも、自分で選んだ道です。
悔いはないでしょう。
小説家であり続けるため、頑張ってほしいものです。
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