以前、NHKで放送された「老人漂流社会 団塊世代 しのび寄る“老後破産”」を見たときも感じたのですが、メディアでは、高齢者は貧しいというイメージが好きなようです。
NHK以外のメディアでも高齢者は、貧困、可哀そう、助けなくてはいけない、惨めといったマイナスイメージのものが多いです。
ですが、一方、詐欺で数千万円もだまされる高齢者のニュースを目にすると意外とお金を持っているんだな、ということも感じます。
実際のところは、どうなんでしょうか。
厚生労働省の高齢者社会白書の中身を見てみましょう。
平成27年版高齢社会白書(全体版)(PDF形式) - 内閣府
平成27年版高齢社会白書(全体版)
2 高齢者の経済状況
(1)経済的な暮らし向きに心配ないと感じる高齢者は約7割
60歳以上の高齢者の経済的な暮らし向きについてみると、『心配ない』(「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」の計)と感じている人の割合は全体で71.0%であり、年齢階級別にみると、「80歳以上」は80.0%と高い割合となっている
7割の高齢者は、暮らし向きに心配がないと感じています。
残りの3割が、「家計にゆとりがなく、多少心配である」や「家計が苦しく、非常に心配である」です。
ところで貯蓄は、高齢者の場合はどうでしょうか。
(4)世帯主が 65歳以上の世帯の貯蓄は全世帯平均の 1.4倍で、貯蓄の主な目的は病気や介護への備え
資産を二人以上の世帯についてみてみると、世帯主の年齢階級別の家計の貯蓄・負債の全般的状況は、世帯主の年齢階級が高くなるにつれて、1世帯当たりの純貯蓄はおおむね増加し、世帯主が60~69歳の世帯及び70歳以上の世帯では他の年齢階級に比べて大きな純貯蓄を有していることが分かる。年齢階級が高くなるほど、貯蓄額と持家率がおおむね増加する一方、世帯主が30~39歳の世帯をピークに負債額は減少していく(図1-2-2-5)。
また、貯蓄現在高について、世帯主の年齢が65歳以上の世帯の平均と全世帯平均(いずれも二人以上の世帯)とを比較すると、前者は2,377万円と、後者の1,739万円の約1.4倍となっている。
65歳以上の世帯は、全世帯に比べて、1.4倍の貯蓄額があるという数字が出ています。
これからどういうことが読み取れるでしょうか。
高齢者は、比較的他の世代に比べて、豊かで貯蓄もあると言えそうです。
無論、どの世代も貧しい人たちはいます。
これは、高齢者も他の世代も同じでしょう。
ですから、メディアは、高齢者の全体像を見た上で、個別の貧しい高齢者の問題を論じて欲しいものです。
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