そしがやは、小説教室に通い、小説家になることを目指しています。
3か月に1篇短編小説を書いて、元角川書店の編集者から講評をもらっています。
いくつかの新人賞に応募していますが、いまだに受賞していません。
2次予選通過どまりです。
最終選考には残りたいと考えているのですが、いい結果は出せていません。
ずっと小説を書いていますが、時どきなぜ小説家になりたいのか、なぜ小説を書き続けるのかと考えることがあります。
そんな中、現役の小説家の書いた本がそんな自分の理由を明らかにしてくれました。
森博嗣の「作家の収支」という本です。
今までほとんど紹介されることのなかった経済的な部分を中心に小説家の生の姿を描いた本です。
小説家ってどのくらい儲かるのかなどが、ここまで書いていいのかと思うくらい、紹介されています。
初めてこのような本を読んで、自分の作家になりたい理由がかなり整理されたようです。
小説家になりたい理由を3つ挙げてみます。
1 小説家は、自分ひとりでできる
この理由が一番大きいです。
世の中には、多様な職業がありますが、ほとんどの職業は、いろいろな人と協力していかないといけません。
以前勤めていた公務員の仕事は、まさにそうでした。
上司がいて、同僚がいます。
正直、わずらわしいことが多かったです。
ですが、小説家は、全部自分ひとりで完結します。
紙とペンさえあれば、今はパソコンでしょうか、自分ひとりで仕事ができます。
原稿を出版社に渡してしまえば、後は出版社が印刷や宣伝等のわずらわしい仕事をしてくれます。
あくまでも原稿を執筆する仕事は小説家個人の仕事です。
こういうのは、意外と少ないです。
「作家の収支」では、漫画家の例を紹介しています。
漫画家は、個人でできるようなイメージがありますが、プロとして仕事をしていくためにはアシスタントを雇う必要があるようです。
それでないと仕事量をこなせません。
アシスタントとの雇用関係等を考えるとちょっとわずらわしいです。
その点、小説家は、アシスタントがいなくても、やっていけます。
2 小説家は時間単価が高い
この本によると、小説雑誌では、原稿用紙1枚に対して、4000~6000円の原稿料がもらえるようです。
50枚の短編なり連載小説を書けば、20万円~30万円が支払われます。
森博嗣の場合だと1時間で原稿用紙20枚くらいパソコンで書けるとのことなので、時給は10万円になります。
ただこれだけのスピードでは、誰でも書けるわけではないでしょう。
そしがやの場合だと1時間に5枚くらいですから、それでも時給は2万5千円くらいになります。
かなりいい単価です。
無論アイデアを考える時間や原稿を見直す時間もあるので、実際の単価は、もっと下がります。
それでも時給1万円にはなるでしょう。
こんな美味しい仕事があるでしょうか。
3 小説以外の収入がある
森博嗣の小説家はドラマ化もされたし、映画化もされています。
そのときのことが具体的に書かれています。
連続ドラマの例を紹介してみます。
「すべてがFになる」という作品がドラマ化されました。
ドラマの放映料は、1回50万円だそうです。
ですが、ドラマ化されると原作も売れるので、そちらの方の売れ行きが約10%増えたそうです。
具体的には、35万部の売れ行き増ということで、印税にすると3500万円とのことです。
他にも映画化されたときの例も紹介されていました。
これも同じように映画化料と原作の売れ行き増があったようです。
う~む。うらやましいですね。
2度も3度も美味しい仕事です。
こう見てくると小説家志望の人間が多い理由がわかります。
ですが、こういう森博嗣のような例は稀なんでしょう。
今通っている小説教室でも毎年何人かデビューしますが、ほとんどが5年以内に消えてしまいます。
無論直木賞のような有名な賞を取って、ビッグネームになった作家もいますが、かなり例外です。
でも、こんな本を読んでしまうと、なおさら、小説家への夢は、あきらめきれなくなりますね。
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