ちょっと前の記事で引きこもりの息子のことを書きました。
生活能力がなくて、自分の親が亡くなっても、どうしていいのか、わからないというものでした。
そんな息子を持った親の立場になってみると、自分たちが死んだ時に残された、生活能力のない息子のことが心配になるのは、当然です。
こんな記事を読みました。
貯金や株を合わせた資産は約8000万円。元開業医という資産家の83歳には、それでも心配事があります。一度も働いたことがないという55歳の息子です。ひとりっ子で、資産管理を頼める親族はいません。しかもバイクが趣味の浪費家です。夫妻が死んだ後、ムダ遣いを防ぐために、FPが授けた作戦とは――。
小林さん(仮名)という元開業医の資産家のケースです。
55歳の息子が一度の働いたことがないというものです。
自分たちがそれなりの年齢になり、夫妻が亡くなったあとのことが心配になり、FPに相談しました。
<資産状況>
相談者:預貯金5000万円、有価証券2500万円、合計7500万円
自宅(戸建て)、長男のマンション
妻:預貯金500万円
<収入の状況>
相談者:老齢基礎年金/年額78万円
妻:老齢基礎年金/年額68万円
<支出の状況>
生活費など、年額360万円
資産的には、かなり恵まれています。
年金額は、少ないものの夫妻で8000万円の預貯金や有価証券があるので、80歳代という年齢を考えると心配ないでしょう。
ですが、夫妻が亡くなって、資産が息子に渡ったときに、金遣いの荒い息子が管理できるかどうかを憂慮しているようです。
一度に使ってしまい、あと困ってしまうのではないかということです。
普通の社会経験のある息子なら、悩む必要はないでしょう。
これだけでも資産を計画的に使っていくということが想像できるからです。
ですが、息子は、就職したこともないのです。
今までは、息子にせがまれても少しづつ夫妻が小遣いを息子に渡してきました。
亡くなったあとは、その役割をする人がいません。
親の残した財産を一度にまとめて渡すのは心配。できれば、生活費として少しずつ使ってほしい。そんな小林さんご夫婦の思いをかなえる制度として、「信託」があります。
「信託」は、資産を持っている人(委託者)が、その資金や運用の成果を渡したい人(受益者)のために、信頼できる人など(受託者)に、その資産を託す仕組みです。お金や利益を渡したい子や孫に直接渡すのではなく、信託銀行など資産管理をしてくれる人や組織に預けるところがポイントです。
資産の管理を任された受託者は、委託者(今回の場合、小林さん)との約束に基づき、受益者(同、息子さん)のために資産を管理・運用し、その資金や運用の成果を受託者に渡していきます。
信託という制度をFPは紹介しています。
名前は聞いたことはありましたが、そしがやは、この制度をよく知りませんでした。
いくつかの信託があるようですが、この夫妻は、遺言代用信託を利用することを検討し始めたようです。
親(委託者)が生きている間は、親がお金を受け取り、親がなくなった後は子供が受け取るというものです。
いずれも、月額◯万円という形で、定期的に受け取ることができます。
この制度は、元本保証で手数料もかからないので、この夫妻には、一番向いているように思えました。
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