幸せというと今までは、哲学や倫理学などの分析対象でした。
ただそういった学問での分析は、かなり抽象的な傾向があって、今ひとつ理解が難しいし、納得できない面がありました。
今回読んだ本は、幸せをアンケートを用いて、定量的に把握して、経済学の視点から分析するというものです。
具体的な数値が出てくるので、説得力がありました。
残酷すぎる 幸せとお金の経済学 佐藤 一磨 (著)
読んでみて今までの常識が打ち破られるものもありました。
例えば、今までは幸せというのは、約7・5万ドル(約1000万円)までは上昇するが、その金額に達すると頭打ちになるという説がありました。
この説はいろいろな本で紹介されていて、そしがやもその通りだろうと思っていたのですが、この本ではその定説を打ち破る研究を紹介しています。
2023年に公表された研究では、幸福度の低いグループと高いグループとにわけて分析しました。
幸福度の低いグループは、従来の説のように年収と幸福度は頭打ちになりますが、幸福度の高いグループでは、所得の伸びとともに幸福度はさらに高まるというものです。
違う結果が出た理由としては、幸福度の低いグループと高いグループとでは、学歴、健康、就業状態が要因が異なっているからとのことです。
興味深いですね。
また子供のいる既婚女性といない既婚女性とでは、子どものいない既婚女性の方が幸福度が高いという結果も予想外でした。
今までの価値観からすると結婚して、子どもがいる女性の方が幸せというのが常識だったので、かなり意外でした。
それに子どもが多い女性ほど幸福度が下がるという結果も出ています。
その理由としては、金銭的負担、夫婦関係の悪化、重い家事・育児負担があると分析していますが、その理由を知るとそういう結果が出たことも納得できますね。
他にも離婚したら不幸せになるのかについての分析も面白かったです。
男性の方が、女性より不幸せになるという結果が出ています。
これは予想通りでしたが、経済学的視点からの分析が今までにないものでした。
最後には、幸福度を大きく低下させるものとして、健康状態の悪化、失業、パートナーとの離別、社会からの孤独・孤立を挙げています。
目新しいものはないかもしれませんが、数量的に説明されているので、これまでぼんやり感じていたことを明確にさせてくれました。
幸福の実態が数値によって具体化され、これまで以上に見えてきたということでしょうね。