そしがやには、子どもはいませんが、子どもや孫に結構お金を使っている友人がいます。
友人自身は、普段節約していて、そんなに使わないのに、子どもや孫の費用に関しては、財布の紐が緩くなるようです。
最初は、そういう風に子どもや孫にお金を使うのがうれしかったのに、それが次第に負担になってきたという夫婦の記事を読みました。
牧さんが69歳のとき、30代の一人息子が珍しく電話をかけてきた。
「娘が3歳になるので、そろそろ家を買いたい。ついてはいくらか援助してもらえないか、という相談でした」
息子一家は勤め先に近い名古屋市内に住んでいたが、「将来を考えて、新居は実家の近所に建てようと思う」とも言われ、牧さんと妻は舞い上がった。孫娘の顔を毎日のように見られるのだ。
近くに住みたいという息子の言葉に、牧さんは、舞い上がってしまいます。
こういう気持ちって、わかりますね。孫って、かわいいですからね。
夫妻は耳を揃えて頭金800万円を用意した。老後資金の3分の1にあたる額だ。1年後に開いた上棟式では、張り切って高価な今治バスタオルを買い、職人さんやご近所に配って回った。
「竣工の日、初めて面と向かって息子に『ありがとう』と言われ、妻は泣いていました」
牧さんは、老後資金の3分の1を息子の新居に提供します。
その後は、息子夫婦は共働きのため、週に2~3回は牧さん夫妻が夕食を準備したり、食料品や日用品の買い物、車のガソリン代、外食費に加えて、年に一回の家族旅行の費用まで持つようになりました。
ここまでくると、「ちょっと待てよ」という疑問が湧いてきそうですが、もう人生も終盤ですし、家族を、孫を笑顔にできるなら安いものだと牧さん夫婦は考えていました。
ところが、一昨年から夫婦は、不安に苛まれ出します。
貯金が1000万円が切ってきたのです。
そんな時に孫の進学問題が浮上します。
私立の中高一貫校への入学することになり、学費自体は年額70万円ほどですが、諸々の雑費を含めると100万円近くになるとのこと。
それまでの経由から援助できないとは言えない状況です。
『入学金は全部そっちで出してもらえないかな』と恐る恐る持ちかけてみたものの、息子夫婦には『ウチだってそんなに余裕ないんだから』と取りあってもらえなかった。挙げ句、息子に『(孫が)ずっと憧れていた学校なのに、親父たちが協力しないせいで行けなくなったらどうするの』とまで言われて……」
ですが、背に腹は変えられず、言ってみると息子は、今までの経過から援助するのが当然という態度です。
「あるとき『私らのことをATMと思っとるんかね! 』と、孫のいる前で息子夫婦に食ってかかったんです。それからというもの、もう前のように気軽に行き来するどころか、連絡するのも気まずくなってしまいました。」
そんな中、限界を迎えたのは、牧さんの妻の方でした。
おカネの魔力は、与える側も、そして受け取る側も蝕む。気づいたときには、もう手遅れなのだ。
この記事は、最後は、こう終わっていますが、何事もほどほどが肝要なようです。
初めに紹介されている「『ありがとう』、ずっと続くと『これだけか』」という牧さんの読んだ句が、最初は、感謝してもそれが続くと当たり前になってしまう人間心理を的確に言い当てていますね。
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