勤めていたころは、クレーム対応でかなり辛かったことがあります。
理屈で説明しても納得してもらえなくて、なおさらクレームが拡大してしまったことがありました。
いろいろなクレームがありましたが、その中でも高齢者からのものには、だいぶ苦労した記憶があります。
今は、逆に利用者の立場ですが、やはり高齢者からのクレームは、若年者のものよりも多いように感じます。
先日、行った図書館の窓口でも高齢者の男性が職員に長々とクレームをつけていました。
内容は、予約した本がなかなか届かないことに対するもののようでした。
ただこれって、限られた本で順番があるのだから自分の番になるまでに時間がかかるのもやむを得ないと思いますが、その窓口でクレームをつけていた男性は、そんな説明では納得できないようでした。
そんな高齢男性のクレームの記事を読みました。
平日の昼下がり、コンビニエンスストアのレジ前で会計をしていた高齢の男性が突然、店員に対して怒り出した。
「つり銭をトレーに入れて返すなんて失礼だ!」
「つり銭を自分でトレーから拾えってことなのか?」
「客を客だと思っていない態度だ!」と、店員に詰め寄る。
今のコロナ禍では、釣銭のトレイで返す対応する店が増えているので、当然だと思いますが、この高齢の男性は、そういうことが納得できないようです。
店員は、なぜ急に怒られたのか分からないという顔で、レジ横のポスターを指しながら、「ここに貼ってるように、トレーに返すことになってるんで……」と掲示内容を繰り返すばかり。「だからそんなことを言ってるんじゃない。こんな教育をしているなんておかしい、店長を出せ! 責任者を出せ!!」と、店内にいる全員が振り向くほどの大声を上げはじめる。結局、スタッフルームで店長が長時間の対応をおこなうこととなった。
店員の立場だとなぜ男性が怒り出すのか分からないというのも理解できますね。
そしがやも勤めていたころは、こういう対応だったような気がします。
先に挙げた例の男性の場合、「釣り銭をトレーに入れるという店側の対応に不満を感じ、それを爆発させた」というのが表面上、見えている行動だ。一方で顧客心理の視点から見ると、その背景には、
・個人的なストレスを、他者を攻撃することで発散したい
・相手(企業)より、自分のほうが優位であると主張したい(自分を認められたい)というような欲求が潜んでいる。
この記事では、この顧客の心理を以上のように分析しています。
つまりトレイの釣銭に怒りを爆発させたことには、上記のような欲求が背景があるというのです。
この記事では、ストレスを5つのカテゴリーに分けていますが、この事例は、ストレス発散型だとしています。
・相手が感情をコントロールできない人だと認識する(こちらは相手の感情に振り回されない)
・気持ちに寄り添う言葉や態度を示す(勝とうとしない)
・一方的にならないように丁寧に説明する
こういうストレス発散型のクレームには、上記の3点が重要だとしています。
この事例への応対としては、まず「本当は私どもも今まで通りの接客を行いたい」または「今までの接客と気持ちは同じです」と伝えることが非常に重要だ。お客さまと同じ思いに立ちながら、感染予防対策をしていることが伝わる。飛行機の機内案内でも「(感染予防対策により)サービスが行き届かず、ご迷惑をおかけすることをお詫びいたします」などとアナウンスされているが、これも背景には同様の意図がある。
具体策の一つとしては、このような対応を紹介しています。
とは言え、クレーマーは、いろいろなタイプがいるので、こういう形で解決するものばかりでないのも確かです。
それに伴って企業が新しい施策を導入すると、必ず新しい苦情やクレームが起こるはずだ。すべての顧客接点が垣根なく苦情やクレームに対応できるような情報共有の土壌をシステムとして構築しておくことの必要性が高まっている。
最後には、こう結論付けていて、クレーム情報の共有化の重要性を強調しています。
なるほどと理屈では分かりますが、クレームを受ける現場は、いつも苦労する状況は、変わらないような気がしますね。
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