そしがやは、定年の60歳で公務員をリタイアしましたが、知り合いでその前にリタイアした人は何人もいました。
そしがやの場合、あまり友達がいないので、勤めている間の知り合いの消息はほとんど知りません。
時々、数少ない友人と会う時に話題になるくらいです。
先日、以前住んでいた市へ用事があり出かけました。
バスに乗ったら、一人の男性から声を掛けられました。
瞬間、誰だかわかりませんでした。
ひげだらけの顔に少し薄汚れた格好をしていました。
しばらくして、公務員時代の知り合いだということがわかりました。
思い出すと彼は、55歳くらいで辞めたはずです。
その当時は、近くに住んでいて、通勤途中に会うと挨拶くらいをする程度の付き合いでした。
職場が近くになったときもあり、その頃は、会えば世間話をよくしていました。
ですが、プライベートなことは話しすることはなく、どんな生活をしているのかもわかりませんでした。
確か独身だということだけは知っていました。
リタイア前の仕事をしている頃は、清潔感のある姿で若々しかったです。
ですが、今見る姿は、かなり変わりはてた姿です。
そしがやより2、3年先輩ですから現在65歳くらいでしょうが、もっと年上に見えました。
急に老けて、かなりやつれたようです。生活に疲れた感じもします。
リタイアしてから何があったのでしょうか。
単に加齢のせいだけでは、ないように見えました。
やめてからどういう生活をしているのか、ちょっと聞いてみたい気もしましたが、月並みの挨拶だけに終わってしまいました。
「やあ、しばらくです」
「お元気そうですね」
といった当たり障りのない会話です。
それ以上聞いてもいいのでしょうが、ちょっと今の姿を見るとちょっと尋ねる気にはなりませんでした。
そんな挨拶が終わると話すことがなくなり、彼も聞いてくることもなく、二人とも黙ったままそしがやの目的のバス停に着きました。
「ではこの辺で」
と言って、別れましたが、まだリタイアしてから7、8年しか経っていないはずです。ですが、あの変貌ぶりには驚かされました。
バスに一緒に乗っている間は、いろいろと尋ねてみたい誘惑がありました。
ですが、彼と別れた後で、やはり聞かない方がよかったように感じました。
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