沖縄というとどういうイメージをお持ちでしょうか。
常夏の観光地で人々が優しいとか、あるいは、米軍基地の存在に苦しめられているとかでしょうか。
そしがや自身は、沖縄でリタイア生活を考えたこともあるので、ずっと関心を持っていました。
実際に行ったことも2度ほどあります。
今回「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」を読んで、いろいろと考えさせられ
ました。
著者は、もともと野村証券の出身で、沖縄のホテルの再建を任され、再生させたものの、職を追われ、現在は、沖縄の大学で教えている人物です。
沖縄県出身ではないのですが、この本を読んでいると沖縄への愛情を感じます。
沖縄が日本で最大の援助を受けているのに、一番貧しいのは、なぜだろうということから検証を始めています。
ホテル経営や大学で教える中で経験したことからその理由を述べています。
一言で言うとその理由は、沖縄の人の「心の持ち方」だとしています。
「他人と違う行動をする人物を嫌う」ことや「現状維持を好む」などが沖縄の人の特徴であり、その結果、「有能な人材をつぶす」とか「イノベーションが起きない」と分析しています。
また経営者に対して、批判的な行動をすることもありません。
そうすると目立ってしまうからです。
これって、日本人全体にも通じますが、沖縄では、顕著だとしています。
例えば、著者がホテルを経営していた時に、優秀な人に昇進の話を持ち掛けても断られることがほとんどだったというエピソードを紹介しています。
ほかの人の上に立つ立場になるとこれからの地域社会で生きにくくなるというのがその理由です。
目立ちたくないという一種のムラ社会の原則が沖縄では根強いということでしょうか。
このようなエピソードが次から次へと紹介されるので、地元の人は、辛くなるのではないかと心配になるくらいです。
このような沖縄の人の「心の持ち方」が援助依存症になっているというのです。
沖縄の経営者もそんな沖縄の人の心情に甘え、利益を独り占め過ぎていると述べています。
著者は、そんな状態を打破するためには、経営者は、「愛の経営」をすべきであるとしています。
ひとりひとりが自尊心を持つことも大事だとしています。
最初読んできたときには、著者の沖縄に対する分析は、的確だと思ったのですが、解決策が「愛の経営」というのは、ちょっと精神論過ぎて、実際の解決にはならないのではないかとちょっとがっかりしました。
そしがや自身が解決策を持っているわけではありませんが、精神論では、何も変わらない気がします。
無論、この本の提示した沖縄の現状分析は、説得力があっただけにこの点だけは、不満が残りました。
関連記事