以前通っていた大学のシニアクラスの同級生から、30代の息子が引きこもりだと耳にしたことがあります。
高校を出てから働いたこともなく、現在も自分の部屋にこもったままだといいます。
それ以上のことは、その同級生は話したくないようで、聞けませんでした。
こういう話題は、確かに親としては積極的には、しゃべりたくないものでしょう。
同じようにそんな引きこもり生活をしていている女性の不安についての記事を読みました。
「自分は両親の死後も路頭に迷わずにすむのか」。Aさん(31歳・女性)は、高校を卒業してからほとんど働いたことがなく、家にひきこもっている。両親は娘のために生活を切り詰め、自宅に加えて、現金5000万円を相続させるつもりだ。それでもAさんの不安は消えない。家計相談を受けたファイナンシャルプランナーのアドバイスとは——。
これは、ファイナンシャルプランナーである筆者が相談を受けたケースを記事にしたものです。
相談主のAさんは、なんでもできる姉と比較されることで高校時代にうつ病になります。
高校は、どうにか卒業したものの、引きこもりになります。
そんな娘を心配した両親は、娘の老後のことを心配して、自宅と現金5000万円を相続させるつもりです。
Aさんは、それでも老後が不安で、一度別のFPにキャッシュフロー表を作ってもらいました。
両親の死後、Aさんがひとり暮らしをして90歳で亡くなるという条件でしたが、90歳時点で1000万円弱の現金が残ることになっていました。
普通に考えると問題ないものですが、Aさんは、やはり不安でこのFPに相談したというものです。
今住んでいる戸建ての家をAさんが相続する
父親と母親は、最期まで自宅でAさんと一緒に生活する
生活費は親子3人で月13万円
両親他界後の収入は月8万円のみ
FPである筆者は、上記の4点をチェックのポイントにしました。
筆者の結論は、90歳近くまで生きてもお金が枯渇することはないことは確かで、前任のFPの試算に大きな誤りはない、というものです。
確かに自宅があり、現金5000万円を相続することができるのであれば、親子3人の生活費が月13万円とかなり質素な生活ですが、問題がないと言えそうです。
また両親の他界後は、障害年金の月8万円だけになりますが、現金の5000万円があるので、これも大丈夫でしょう。
自宅を必ずしもAさんが引き継がなくてもいい
両親の介護費用は必ずかかる
筆者から見て、気がかりな点が上記の2つだと述べています。
まず一戸建ての自宅は、両親他界後の一人暮らしには、広すぎるというものです。
ですから、マンション暮らしも検討してもいいし、両親の老いに伴って生じる介護費用の問題は、Aさんの老後資金に影響を与えるだろうというものです。
Aさんは、筆者と話しているうちに最後にやっと本音を言い出します。
だんだん緊張が解けてきたAさんは、「実は私、今後やりたい事があるのです」「家を出たいのです」と話し始めました。今日一番相談したかったことはこれか、と筆者が感じるほどのまっすぐな視線でした。
家を出たいというのは、素直な気持ちのように感じますね。
そしがやが家を出たのは、大学に入学した18歳ですが、31歳まで親と暮らすというのは、考えられませんでした。
31歳まで親と暮らしてきたAさんも同じでしょう。
うつ病があったので、やむを得ず親と暮らさるを得なかっただけでしょう。
Aさんは、「誰にも干渉されない1人の時間がほしい」と自分の正直な気持ちを吐露しています。
この気持ちは、よく分かります。
その結果、Aさんは、月3万5000円のアパートを借りで一人暮らしをすることになります。
収入は、月8万円の障害年金がベースになります。
足りない部分の説明はありませんが、親からの援助でしょう。
数か月後に筆者は、Aさんから電話をもらいます。
アパートでの一人暮らしを続けているようです。
お金の管理についての相談でした。
筆者は、アドバイスをしましたが、この記事を読んで、Aさんがどうにか一人暮らしを続けられていることは、彼女にとっては、かなりの前進だと思いました。
まだ31歳とまだ若いこともあり、引きこもりの生活をしていたころよりは、彼女にとって、これからは、新しい展開があるような気がしました。
また数年後のAさんの状況を記事にしてほしいですね。
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