ウォーレン・バフェットというと世界でも最も有名な投資家の一人でしょう。
そしがやも彼の名前は勿論聞いてはいたのですが、どういう人生を歩んできて、現在のような投資家になったのかは、知りませんでした。
以前、彼についての本を読もうと思って、『スノーボール』という彼の伝記を読み始めたのですが、最初の十数ページで脱落してしまいました。
ちょっと難しすぎたようです。
それで今度は、マンガで書かれている本を見つけ、読んでみました。
この本は、バフェットのこれまでの人生を投資を中心として述べているものです。
びっくりするのは、バフェットが幼い時からビジネスをしていることです。
チューインガムやコカコーラの訪問販売を始め、使用済みのゴルフボールやポップコーンの販売もして、11歳の時には、120ドル(現在の日本円で22万5000円)の貯金をしています。
また姉のドリスとともに株式投資も経験しています。
そしがやの小学生時代を思い出すとビジネスをしようとか、株式に投資してみようとか頭の片隅にもありませんでした。
周りを見ても新聞配達のアルバイトをする同級生がいたくらいです。
それに驚くべきことは、高校生の時には、中古のピンボールのビジネスを始め、卒業時には、およそ5000ドル(現在の日本円で580万円)の財産を築いています。
こういう経歴を見ても彼のビジネスセンスがただものではないことが分かります。
その時のビジネスや株式投資の経験がその後のバフェットにつながるものになります。
そんなバフェットも最初の株式投資では、一時的に上がったので、売却した株がその後も上がり続けたという失敗をしています。
その時の経験から、一時的な株価の上下で一喜一憂しない、目標価格に達するまで売らない、取引後は勝ち負けの理由を分析する、といった教訓を得ることになります。
20歳で入学したビジネススクールでは、生涯の師に出会います。
ベンジャミン・グレアムです。
彼も有名な投資家ですが、バフェットは、グレアムの『賢明なる投資家』という本を読み、感銘を受けます。
彼の会社に入り、彼のもとで仕事をします。
また生涯のビジネスパートナーであるテャーリー・マンガーとも知り合ったのもこのころです。
こう見てくると彼の投資家人生は、20歳代で形作られたといっても過言ではないでしょう。
そこで見出したのがバリュー投資です。
株の本質的価値に注目して、割安な価格で買うというものです。
つまり安く買って高く売るということです。
そのためには、企業の詳細な財務分析を行うことが必要になります。
この本を読んで感じたのは、バフェットが成功できたのは、この財務分析の能力が非常に高かったということです。
この本では、バリュー投資のための7つの基準が紹介されています。
適切な事業規模であるか、財務状況は健全か、収益は安定しているか、などです。
ですが、誰しもがこの分析を的確に行えるかは、正直なところ、疑問の残るところです。
そういう意味では、彼の方法論は、一般の人には、参考になるかもしれませんが、誰でも出来るものではないでしょう。
バフェットの成功は、彼のこのこの天才的な分析力の高さがあってのものでしょう。
ほかには、会計学の重要性を強調しています。
財務分析をするためには、必要だからです。
この本は、その後のバフェットの投資人生について触れています。
順風満帆ではなく、やはり紆余曲折があり、現在の「オマハの賢人」と呼ばれる、2021年3月現在資産額1000億ドル(10兆8000億円)で世界で6番目の資産家になっています。
その間のエピソードも興味深いです。
マンガで彼の人生の概略に触れ、投資理論などの詳細は文章で説明するという流れなので、非常に読みやすいです。
文章だけだと難しかったり、飽きてしまいがちですが、退屈することがなく読み進めることができました。
とはいえ、高配当株投資をしているそしがやから見ると、このバフェットの投資方法が誰にも応用できるものではないとも感じました。
それなりの能力と時間が必要だからです。
ですが、多くの投資家にとっては、このような投資家の存在を知ることは、参考になることだけは確かですね。