そしがやです。
土曜日の夜、小説教室に行ってきました。
今回は、4月~7月期の最後の授業で特別ゲストとして、書評家の東えりかさんが講評に来ました。
普段だと編集者の講師が受講生の小説の講評をするのですが、各期の最後の日は、外部の小説家や批評家を呼んで、選ばれた作品を講評してもらいます。
今まででは有名な作家だと、赤川次郎、北方謙三、篠田節子、北村薫等がいます。
圧倒的に小説家が多いのですが、今回は書評家です。
東えりかさんは、初めてです。
北方兼三の秘書をしていて、その後、書評家として独立したという経歴の持ち主です。
そしがやは、「本の雑誌」の彼女の書評を楽しみにしていました。
まさかこの小説教室の講師としてくるとは思っていませんでした。
ただ、今期は、そしがやは、大学の入学等で忙しかったこともあり、作品を出していなかったので、無論、今回の講評作品には選ばれませんでした。
今回は、8作品が選ばれて講評を受けました。
個別の講評のコメントは、この記事を読む人には、作品がどんなものかわからないので、紹介しません。
ですが、小説の新人賞を獲るために触れた興味深い3つの点を紹介します。
1 一次選考の下読みの実態
東さんは、小説の新人賞の下読みをしているので、その話が具体的で参考になりました。
彼女は、以下の3つの賞の下読みをしています。
小説現代新人賞
日経小説新人賞
オール読物新人賞
この3つの中では、オール読物新人賞が短編の賞で、そしがやが毎回応募しているので、その下読みの実態がどんなものか、気になりました。
彼女によると、
オール読物の下読みは、一人100本くらいを20日間くらいで読まなくてはならない。
その中で彼女が一次選考を通すのは、100本中7~8本。
またいろいろな賞の下読みをしている人間は、全部で20人くらいとのこと。
だから、二次選考は、編集者も含めて、全下読みでまわし読みするので、二重投稿するとこの段階でわかってしまいます。
名前を覚えられると、次回からは、不利になります。
だから絶対に二重投稿はしてはいけない。
2 これから作家デビューしやすい分野
今恋愛小説を含めた家庭小説が新人賞の応募作品には一番多いそうです。
下読みの作品の中でも多いので、かなり特出していないと、残れないとのこと。
書く作家も多いので、新人には狭き門です。
時代小説は、ここ10年くらい隆盛を誇っています。
ですが今後は、経済とかに触れた骨太な時代小説が受けるのではないかとのことです。
警察小説も多い。
それに既存の書き手も多いので、これは新人が取り組むべき分野ではありません。
医療小説が作家も少ないので、新人には、期待できる分野ですが、専門知識がないと書けません。
でも必ずしも医師ではなくても、看護や介護の分野でも可能性はあります。
ライトノベルは、大人には書くのが難しい分野ですが、子供たちの心理を知るためには、読んでおいたほうがいい。
3 新人賞を獲って5年後に作家として生き残る可能性の高い賞
小説すばるが新人賞を獲ってから生き残っている可能性が高い。
編集者が作家を大事に育てています。
あとは、小説現代新人賞。
江戸川乱歩賞は別格。昔から賞を獲ってからも活躍している人が多いです。
こんな業界の内輪話を聞けるのが、この教室の魅力でしょうか。
今まで来ていた作家先生とは違って、話が具体的なので、話を聞いただけで、賞が取れたような気になります。
東えりかさんは、こんなことも話していいのかと思うほど内輪ネタのオンパレードでそしがやは、本当に参考になりました。
東えりかさん、今度また来てください。そしがやの作品の講評をしてくださいね。
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