ラテン語というと現在は使われていない、死んだ言葉というイメージが強いですが、この本を読むとまだまだ世界に影響を与えているということが分かります。
世界はラテン語でできている (SB新書) ラテン語さん著
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この本は、世界史、政治、宗教、科学、現代、日本という項目でそれぞれラテン語が果たしている役割について述べています。
著者の博識ぶりに驚くとともにいまだにラテン語は死んでいないと思い知らされます。
そしがや自身がラテン語に興味を持ち始めたのは、英語を学習するときに語源を調べていくとラテン語がもとになっている単語が結構多いということを知ってからです。
英語というのはゲルマン系の言葉ですが、英国は、ローマ帝国の領土になったこともあるし、その後11世紀にフランスのノルマン人に征服され、フランス語が公式言語になったこともあります。
そういった歴史があったので、ドイツ語などのほかのゲルマン語系の言語に比べるとラテン語からの影響をかなり受けています。
無論、ラテン語が変化したフランス語経由の単語が多いのですが、ラテン語から直接来た単語も多数あります。
多分、英語の語彙の半数は広い意味でのラテン語系です。
英語の辞典を調べてみるとそのあたりの語源の経緯がよく分かります。
そんな訳でこの本を手に取ってみましたが、いろいろと知らない逸話が興味深かったです。
例えばカエサルがブルータスに暗殺されたときに、「ブルータスよ。お前もか」と叫んだのは有名です。
ラテン語だと「Et,tu Brute」ですが、実際はラテン語ではなく、ギリシャ語だったという説もあるというのは、ちょっと驚きでした。
当時は、文化的には、ギリシャの方がローマより高く、教養のある人は、ギリシャ語を話していたということもあるようです。
このラテン語で叫んだというエピソードが広まったのは、シェークスピアの演劇『ジュリアス・シーザー』からだそうです。
他にも面白い逸話があります。
ちょっと意外だったのが、1689年のロシアと清国との国境紛争の際に結ばれたネルチンスク条約がロシア語、ラテン語、満州語で作成されたということです。
17世紀まではまだラテン語が現役の外交用語だったようです。
それにしても中国語がないのがちょっと不思議です。
また車業界で言えば、AudiやVolvoがラテン語から来ているとかは、知っている人もいるかもしれません。
日本のメーカーで言えばトヨタのプリウスは、「より前面の」とか「より優れた」という意味のpriusがもとになっています。
このようにラテン語が使われるのは、やはりイメージがいいということがありそうですね。
そんな訳で古代ローマが滅びて、大分経ちますが、いまだラテン語の影響から人類は逃れらないということが分かります。
言葉に関心のある人には、一読を勧めたいですね。