現在通っている大学院には、学部から上がってきたばかりのまだ若い20歳代前半の学生もいれば、30歳代から50歳代の働いている学生もいます。
そしがやのようにリタイアした学生もいます。
先日、授業の前の雑談で今年学部から大学院に入学した一人の学生と国民年金の話題になりました。
そしがやがFP3級の試験を受験したということを知って、尋ねてきたのでしょう。
現在、国民年金に加入しているが、保険料の支払いが厳しいというのです。
確かに彼は、奨学金やアルバイトで生活をしているようで、毎月の保険料の支払いは、大変なことは分かります。
そんな訳で彼には、国民年金には、学生向けには、猶予という制度があるので、それを利用することを勧めました。
10年以内なら、あとから追納できるので、年金額も減ることはないと伝えました。
こういった説明に対しては、一応は納得してくれたようですが、やはりまだ若いせいか年金制度の将来には、疑問を持っているようです。
つまり年金制度がいつまで持つのかとか、国民年金だけだとすると老後を暮らして行けないのではないか、とかいった不安です。
授業が始まったので、会話はここで終わったのですが、確かに彼のこういった不安って分かります。
そんな訳で国民年金だけの場合どうしたらいいか考えてみました。
そしがやは厚生年金と国民年金の両方を受けとっていますが、これがもし国民年金だけだったら、かなり生活は苦しいのは間違いないです。
厚生労働省の以下の資料によると国民年金の平均受給額は、月額5万6千円です。
確かに国民年金だけだと老後は、厳しいので、若い人によっては、こんな僅かな額だったら、国民年なんて払う必要もないと考える人も出てきそうです。
ですが、こんな国民年金も実は優れた制度です。
1 65歳から生涯受給できる
2 障害年金や遺族年金という制度がある。
1の65歳から生涯受給できるは、ほかの民間の年金保険にはないものです。
民間の年金保険は、長年保険料を納めても受給年数は、10年とか限られています。
これって、保険会社の経営を考えれば、国民年金のように生涯にわたって受給できるようにしたら、民間企業である保険会社は、破綻してしまうでしょう。
また2の障害年金や遺族年金という制度があるので、安心です。
もし国民年金を納めないで自分独自で65歳から同程度の金額を得ることを考えたら、結構大変です。
月額5万6千円は、年額にすると67万2千円ですが、もしこれを運用によってこれだけの額を得ようとすると利回り3%で2240万円必要です。
これは、利子や配当に掛かる約20%の税金を無視しているので、実際には、もっと元本が必要になります。
それに運用は、日々の経済の変動の影響を受けるので、毎年3%で運用できるかどうかは、分かりません。
4%の年もあるかもしれませんが、2%の年もあるでしょう。
それを考えるといかに国民年金が安定していて、有利かが分かります。
もし経済的に支払いが無理な時には、免除や猶予といった制度があります。
これは、若い大学院生に説明したものです。
とは言いつつも国民年金だけでは、足りません。
会社員ではなく、自営業だと厚生年金には加入できないので、ほかの公的制度を利用するしかありません。
ただ今は、個人型確定拠出年金(iDeCo)があるので、利用しない手はありません。
厚生年金加入者の企業年金に相当するものです。
これは、保険料として月額6万8千円、年額にすると81万6千円までを限度として拠出できます。
将来の年金額は、運用結果によって確定するというものです。
給付としては、老齢給付のほか障害給付、志望一時金、脱退一時金があり、支払った掛け金は、全額小規模企業共済等掛け金控除の対象になります。
他には、NISAを利用して、非課税という利点を生かして、運用に努めることしかありません。
もし国民年金だけだったら、どうするかを考えてみました。
来週の授業前にそんな話題になったら、彼にまた話してみようと思っています。