大河ドラマは、ここ数年ずっと視聴しています。
今年の「どうする家康」も見続けています。
昨年の「鎌倉殿の13人」が良かったので、最初は、やや違和感がありましたが、今はようやく慣れてきたといったところです。
そんな徳川家康についての本を読んでみました。
大河ドラマ関連本とも言えるものです。
磯田道史の著作は、これまでもほとんど目を通していて、今回も手に取ってみました。
この本は、三河という周りに強力な大名に囲まれていて、弱者であった家康がなぜ天下を取ることができたかについて、その戦略を追ったものです。
歴史書というと当時に日記や書簡といった、一次史料が中心となってしまいますが、この本では、一次史料以外の二次史料も取り上げることで、平易で面白く、分かりやすい内容にしています。
二次史料というと後世の創作が入っているので、歴史学的には、切り捨てられてきたものですが、あえてこの本では、そういったものを採用することで、後世の世の人々の歴史観をも明らかにしています。
この本では、そしがやが知らなかったいくつかのことについて触れていました。
一つ例を挙げると酒井忠次です。
正直言うと、この人物については、ほとんど知りませんでしたが、この著作によると彼の存在なくしては、徳川家の発展はなかったようです。
ナンバー2的な役割を担っていて、家康よりも有能だったのではないかとさえ述べています。
戦場での情報の分析を含めた優れた判断力や数々の戦いで苦杯を舐めた武田軍の人材の取り込みといった忠次の行動が徳川家康の天下取りに役立ったといいます。
テレビのドラマでもこの酒井忠次によって家康が何度も救われているので、納得しました。
あとちょっと驚いたのが、信長方に対する武田の調略が家康の妻子殺害、更には本能寺の変にまで及んだという著者の分析です。
ただこれは、著者の想像なので、事実かどうかは、検証の仕様もありません。
ただ、一次資料を基にしているので、こういった想像は、あり得るかもと思わせるのは、さすがです。
最後に徳川が最後に天下を取り、長きに渡って戦乱のない社会を構築できた理由についても触れています。
他者を呑み込んで大きくなる「強制よりも共生」という徳川流の戦略の結果だと説いています。
強権的だった信長と秀吉の失敗を反面教師にしたからこそ、260年にわたる天下泰平を作り出せたという著者の分析は、ありがちなものですが、切り口に新味があったので、楽しめました。
この本を読んで、「どうする家康」を見れば、もっと大河ドラマにも興味が湧きそうです。