公務員時代には、公文書を作成するときに外来語を使用する場合、日本語として馴染んでいるもの以外は、分かりやすい日本語で表現するという基準がありました。
ですから、〇〇センターとかのように日本語として一般化していて、ほかに表現のない外来語以外は、極力、日本語で書くようにしていました。
にもかかわらず、国などから送られてくる文書には、意味が分からない外来語が含まれていることがあって、戸惑ったものです。
英語がほとんどだったのですが、新しい概念が登場すると日本語に訳することなく、英語のままカタカナにして、使用するということがほとんどでした。
それは今も変わりません。
それって、日本だけでなくイタリアでも同様でこんな記事を読みました。
ローマ(CNN) イタリアで公式文書に英語などの外国語を使用した国民に10万ユーロ(約1400万円)以下の罰金を科すという法案を、ジョルジャ・メローニ首相率いる与党「イタリアの同胞(FDI)」が提出した。
主な外国語としては、日本と同様に英語をやり玉に挙げています。
イタリアでも英語の使用が問題になっているようです。
また、公務員はイタリア語の書き方と話し方の知識を持ち、イタリア語に熟達していなければならないと規定。国内で活動する企業に対しては、役職の頭文字や名称も含め、正式文書に英語を使用することを禁止する。
この文章からすると主に国民よりも公務員がこの法律の対象になっているようです。
ですが、現在では、政治家が一番英語を使っているような気がします。
思いだすとコロナ禍のときに、都知事が「ロックダウン」や「ソーシャルディスタンス」を使い始めて、かなり違和感を持ちました。
意味も不明でした。
後でいろいろ説明されて、やっと理解できたものです。
「都市封鎖」とか「社会的距離」といった訳語では、ダメだったのでしょうか。
もっと理解が早かったと思います。
今では、この二つとも一般化した言葉になっています。
これからも英語を中心とした外来語は、どんどん日本語に入ってくると思います。
ですが一部の人が心配するように日本語が損なわれるとまでは、考えていません。
外国語がカタカナになった瞬間からもう発音も日本語になっています。
上記の例でいえば、「lock down」は、「rokku daun」だし、「social distance」は「soosharu disutansu」と日本語化されて発音されるので、英語のネイティブには理解不能でしょう。
意味も外国語の本来の意味とは異なってしまうことも往々にしてあります。
この段階で日本語になったと言えそうです。
日本語の場合、大和言葉、漢語、外来語と大きく3つの単語のグループに分けられます。
幕末から明治期には、英語などの外国語を漢語に翻訳したので、漢語が増えたと言われています。
ですが、いまは日本人の漢字能力もその頃とは異なるので、外来語が増えることはこのまま続きそうです。
漢語に翻訳しても日本人に定着しないからです。
外来語を使い続けるかどうかは、国民が個々の外来語に馴染むかどうかにかかっています。
便利だったら使うし、不便だったら、使わないということです。
国などの公的な機関が規制をしても英語などの外来語が増える傾向は、イタリアでも日本でも続くような気がします。