50年近く前の大学生のころ、高校の1年後輩の男性が何度も医学部を受験して、失敗しているという噂を耳にしたことがあります。
そしがやが大学4年になるころまで挑戦し続けているという話をきいていたのですが、就職したころには、すっかり聞かなくなりました。
その男性は、同じ中学出身で顔は知っていたのですが、いつまでも受験を続けることもできず、諦めたのでしょう。
その後は、東京で公務員生活をするようになったので、その後輩のことはすっかり忘れていましたが、今はどうしているでしょうか。
そんな後輩を思わせる男性の記事を読みました。
年金暮らしの60代夫婦は36歳の次男と同居している。次男はここ15年以上医学部を目指して勉強しているものの合格できず、アルバイトを含めて働いた経験が一度もない。問題は、夫婦の預貯金が少なく、家計も年数十万円の赤字であること。医学部の学費や老後資金をどうしたらいいのかをファイナンシャルプランナーに相談すると――。
この記事の男性は、36歳でいまだに医学部受験を目指しているとのこと。
15年以上医学部を受験し続けています。
普通だと諦めて、ほかの道を選びそうですが、それもできないようです。
20歳を過ぎてから、大学受験を再開。ここからの受験は、志望学部を医学部に切り替えた。「卒業して、医師免許を取得したら、一生食べていけるから」というのが、その理由だそうである。
私立大学の医学部は学費や施設費などが高いので、現役時代はもちろん、現在は年金暮らしに入った親が負担するのは無理だと考え、国立大学の医学部に絞って、受験を続けてきた。それから15年以上の月日が過ぎたが、現在まで医学部合格には至っていない。
この男性は、初めて受験した時には、すべて不合格になり、そのショックからか2年ほど引きこもりになってしまいました。
その後受験を再開しましたが、目標を医学部に変更します。
それも国立です。
国立の医学部というと難易度がめちゃくちゃ高いです。
そしがやが高校の時に数学がよくできる同級生がいました。
東大の理一に入学しましたが、その彼でも医学部進学コースの理三の合格率は、30%でした。
他の国立の医学部でも理三ほどではないにしろ、難易度は、高いです。
国立の医学部に絞ったというのがよくわかりません。
現在の収入は、夫婦合わせて200万円程度の年金収入のみ。支出のほうが年間で数十万円程度、上回っているという。家計簿をつけていないため、正確な赤字額はわからないのが現状だ。
そんな中、両親は、年金暮らしになり、家計も苦しくなってきました。
相談に乗ったフィナンシャルプランナー(以下FP)が、アルバイトはできませんかと尋ねると、
「アルバイトをする時間があったら、受験勉強に充てたいです」との返事が返ってきた。
本人の頭には、いまだに受験のことしかなさそうです。
志望校は、国立大学の医学部なのですが、昨年までのセンター試験では、200点以上、合格ラインに点数が足りていません。
それでFPは、志望校をたとえば薬学部へ変更して、あと1回か2回だけ受験を許してもらったらと話してみました。
「今まで頑張ってきましたから医学部生にはなりたいんですが、あと1~2回の受験で希望がかなう保証はないので、受け入れるしかないかもしれません。親にはさんざん迷惑をかけてきましたから」
数分の沈黙の後、本人は、こう答えます。
ようやく厳しい現実が伝わったようです。
なんか、このケースを読むと引きこもりの一つの形態のような気もします。
嫌な社会に出たくないがために医学部受験を一つの言い訳にしたように思えます。
その後、この男性がどうなるか分かりません。
薬学部の受験に成功するといいのですが、どうなるでしょうか。
数年後にまた取材をして、記事にしてほしいですね。