前作の「元彼の遺言状」が面白かったので、同じ作者の続編を読みました。
今回は、前回の主人公の剣持麗子も登場しますが、主人公は、同じ弁護士事務所に勤める美馬玉子になります。
麗子は、あくまでも脇役です。
今回も前作と同様に最初の掴みが見事です。
「会社を倒産に導く女」と内部通報されたゴーラム商会経理部社員の近藤まりあの身辺調査を依頼され、玉子は、苦手意識を持っている麗子と二人で行うことになります。
この設定が読者の興味を引きますね。
そんな中、ゴーラム商会のリストラ勧告で使われてきた「首切り部屋」で、玉子は、本当に死体を発見することになって、予想外の事件に巻き込まれていくというものです。
この作品は、一種のバディものという要素もあります。
玉子と麗子という女性弁護士同士ですが、これが目新しいですね。
推理小説ではコナンドイルのホームズ物のワトソン以来いろいろな相方が登場しましたが、若い女性弁護士とちょっと苦手な先輩女性弁護士とのコンビというのは、新鮮です。
それにしても今回の小説でも展開が早いです。
飽きさせないです。
各章ごとにそれぞれの謎があって、次章へと読者を期待させます。
伏線もいろいろとあり、しっかりと回収されていますね。
まさにテレビ向きともいえそうです。
この作品も映像化してほしいです。
誰が玉子を演ずるか想像するのも楽しいです。
という風にずっと肯定的な意見を述べてきましたが、ちょっと残念な点もあります。
個人的には、前作の剣持麗子が魅力的な主人公だったので、やはり今回の作品でも麗子を主人公にしてほしかったです。
玉子は、お祖母ちゃんと一緒に住み、面倒を見ているといういい人キャラですが、アクの強さという面では、麗子に劣ります。
今回も麗子が主役の小説を読みたかったです。
また伏線が各所に張られているのは、いいのですが、設定に無理がある面がややあります。
例えば、主人公の玉子の祖母が付き合っている男性が、最後になって、事件に関係しているというのは、ちょっと設定が強引すぎるている気がします。
これ以上言うとネタバレになってしまうので、差し控えますが、ご都合主義の感もあります。
とはいえ、二人の魅力的なバディの活躍は、リーガル小説だけでなく、活劇的な面白さもあるので、読んで損のない小説です。