現在の生活費は、ほぼ年金で賄っています。
もし年金がなかったら、いまだに働き続けていたでしょう。
ですから、年金あっての現在のリタイア生活です。
もし年金がなかったと思うとぞっとします。
ですが、メディアを見ると時々年金の保険料を納めても意味がないとか、年金をもらうまで長生きしないとか、年金制度が崩壊するとかの記事を目にすることがあります。
心配になる人もいそうです。
そんな年金の不安について触れた記事を読みました。
年金制度の将来に不安を持っている人は多いでしょう。しかしファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは「年金なしで、どうやって老後を暮らすのですか。厚生労働省の調査によると、約半数以上の方が、年金の収入だけで生活をしています」と警鐘を鳴らします――。
この記事では、年金に関わる不安について説明しています。
これって誰しもが持つものでしょう。
「年金に頼って、本当に大丈夫なの?」と不安を感じる人は多いようです。私が年金の繰下げ受給をお勧めする記事をニュースサイトで書くと、「年金制度なんてあてにならない。ダマされるな」などというコメントが返ってきたりもします。
「年金制度なんてあてにならない」というのは、昔からよく聞いたフレーズです。
ですが冷静になって考えると年金がなくてどうやって長い老後を暮らして行くのでしょうか。
60歳以降も仕事を続けるのでしょうか。
70歳くらいまでは働くことができても、80歳、90歳になるとさすがに労働は、厳しくなります。
無論、潤沢な資金を持っていれば、年金なしでも生活費を賄うことができるでしょうが、そういう人は少ないでしょう。
この記事で触れているように約半数の人が老後を年金の収入だけで賄っています。
しかし、「年金が大事ですよ」とお話しすると、こんな意見を言う方がいます。
「大丈夫! 私はそんなに長生きしないつもりだから」
残念ながら、その読みははかない希望に過ぎません。
長生きしないから年金なんて、意味ないという人もいます。
これもよく耳にする話ですが、現在の日本の男性の平均寿命は81歳で、女性はさらに長く、87歳です。
これからは、もっと寿命が長くなることが予想されます。
つまり早死にするから自分は大丈夫という考え方は、多くの人にとっては、あてはまらないということです。
「そうはいっても、現役世代が高齢者を支えるしくみなんだよね。年金の財政は安泰なの? 破綻しないの?」
この点は気になると思います。年金の財政状態を見てみましょう。年金の給付額55.7兆円-保険料39.8兆円-国庫負担13.2兆円=マイナス2.7兆円
年金財政が破綻するという論調ですが、これもよくメディアで見かけるものです。
年金の積立金は運用されていて、運用を担っているのがGPIF(年金積立金運用管理独立行政法人)についてこの記事では、説明しています。
実際は、だいたい2〜3%で運用できています。2001年の運用開始から2021年の第4四半期までの運用実績は、年率3.7%のプラス。累積で約100兆円の黒字です。毎年4.8兆円程度は増えていきますから、赤字は十分に補えます。したがって、積立金を取り崩す必要はないわけです。50年くらいは取り崩さなくていいという試算もあります。
年金財政の赤字分は、このGPIFから取り崩します。
運用益が出ているので、赤字は十分に補えます。
ときどきこのGPIFの運用成績が悪いというニュースが流れる時がありますが、それは、メディアがいい時は、取り上げないで悪い時だけ取り上げるから目立つだけです。
おおむね順調に運用されているということです。
「でも、何十年も真面目に納めたって、支払ったぶんはちゃんと戻ってくるの? 支払った保険料より受け取る年金のほうが少なかったら、払い損だよ」
保険料を払っても元がとれないという疑問もあります。
月額保険料は1万6610円です。40年間で支払う総額は、792万2800円になります。
65歳から年金を受け取ったとすると、月額は6万5075円、1年間では78万900円です。10年受け取れば、総額は780万9000円ですから、支払った保険料とかなり近い金額になります。
計算では、受け取り始めて、10年で元を取れるというものです。
平均寿命からすると多くの人にとっては、損することはありません。
長生きすればするほど、お金は必要になります。人生100年時代、ゆえに長生きにこそリスクがあるのです。目減りしていく貯蓄には不安を覚えますが、年金は一生受け取れます。年金は長生きしたときに困らないための「保険」と考えてはいかがでしょう。
こう見てくると年金制度は、利用しないと損です。
おいしい制度だとも言えそうです。
この記事で年金制度に不安を持つ人の多くの疑問は、解消されたと思います。
それでも年金制度が心配で保険料を納めない人は、自身の資金運用に努めて、ずっと働き続ける選択をするしかなさそうですが、それって、かなり厳しい老後です。
年金に頼る方が楽です。
現在年金を受け取り、生活していて、そう感じています。