日本は、お金の入った財布を落としても戻ってくる確率が高い国だと言われています。
海外では、落としたお金は、まず戻ってこないということはよく耳にします。
そんな事情もあってか、日本ではまずニュースにならないような記事を読みました。
西アフリカのリベリアで、拾った5万ドル(約570万円)を持ち主に返した若者が大統領から「正直大使」に任命され、月給と奨学金を支給されることになった。
このニュースは、アフリカのリベリアの話ですが、世界銀行(World Bank)によると、リベリアでは人口500万人の44%が1日1.9ドル(約220円)以下で生活しているとのことです。
この国で5万ドルがどれだけの価値を持つかがわかります。
「友人たちには、ばかだな、おまえみたいなやつは一生金持ちになれないと言われた」
このトゥローという若者は、お金を返したことでこんなことを友人たちから言われたそうです。
多分、この国の多くの人の一般的な反応なのでしょうか。
日本だとまずこういうことを表立って言う人は、あまりいないでしょう。
ほとんどの日本人にとっては、人のお金は返すのが当たり前だし、お金持ちになった人は、誠実で正直な行為を通じて、信用を得てきた人が多いからです。
元サッカー選手のジョージ・ウェア(George Weah)大統領(55)は今週、トゥローさんと面会。正直にお金を届けたことをたたえて1万ドル(約110万円)を提供。さらに、修士課程修了まで奨学金を提供し、「正直大使」に任命して月給500ドル(約5万7000円)を支給すると申し出た。
この記事で面白いのは、お金を返してからの大統領の対応です。
まず日本では、こういうことにはなりませんね。
ニュースにもならないでしょう。
リベリアでは、正直者が最後には、報われるという日本の昔話のような展開です。
この若者は、結果的には、5万ドルを返したことでそれ以上の報酬を受けたようです。
このニュースがリベリアで広まり、多くの人が正直になるきっかけになればいいな、と思いました。
ですが、これだけ顔が知られてしまい、1万ドルという大金があるということで悪い人が寄ってきて、騙されないかとちょっと心配になりました。
また貧しい国ではよくあるケースですが、そのお金を狙って、殺されたりすることがよくあります。
そういう被害に遭わないことを願っています。
ちょっと悲観的なことを考えてしまいましたが、数年後にこの若者がどうなっているかも取材してほしいですね。
医師か看護師になるという夢をかなえているといいなあ、と思いました。