大河ドラマというと毎回最初の内は、見ているのですが、途中で飽きてしまって、見なくなることがこれまでは結構ありました。
特に幕末から明治にかけてのものは、その傾向が強かったです。
今放送している「晴天を衝け」も初めは、そんな予想をしていました。
途中でチャンネルを変えてしまうのではないかと。
幕末の動乱のあたりは、面白かったのに、明治編に入ると急に退屈してしまって、見なくなるような気がしていたのです。
ですが、予想に反して、明治編に入った今も見続けています。
いい意味で予想を裏切ってくれました。
その理由を考えてみました。
その一つは、今までの多くの幕末物の大河ドラマが薩長を中心とした勝ち組からの視点だったのですが、今回の「晴天を衝け」は、負け組である幕臣からの視点だということです。
その視点が新鮮です。
それに主人が生まれながらの武士ではなく、農民出身ということも目新しいです。
今までも幕府側の立場からの大河ドラマは、ありましたが、もともとの武士が主人公というものがほとんどでした。
今回の主人公の渋沢栄一は、武州の農民出身というのが面白いです。
同じような観点のものと言えば、「新選組」くらいでしょうか。
二つ目は、これまでの幕末物は、事件の多い幕末は面白いのですが、明治に入ると急につまらなくなりました。
動乱の幕末に比べると明治は、ドラマ映えする事件が少なったかということもあります。
ですが、今回の「晴天を衝け」は、主人公の渋沢栄一が体験する静岡藩での商法会所や明治政府の改正掛でのエピソードが興味深いです。
今までの明治ものでは、描かれることのなかったものばかりなので、新鮮です。
いろいろと知り、勉強になりました。
改革を急がないと外国に飲み込まれてしまうという当時の明治人たちの危機感が実感できます。
このような一見地味なテーマを面白く、個性豊かな人物とともに描いています。
脚本の見事さでしょう。
最後ですが、主人公を二人置いたことです。
本来の主人公は、渋沢栄一ですが、徳川慶喜がもう一人の主人公と言ってもいい存在です。
武家のトップになる慶喜と庶民である栄一という二つの観点を加えたことがこのドラマを成功させています。
全く違う出自、立場の二人の人間が幕末動乱の世の中で出会い、ともに負け組になるが、明治になって、違った人生を歩んでいく。
いまは慶喜の方は、静岡で謹慎中ですが、史実からするとこれからの展開は、最後は、東京で出会うことになるでしょう。
激動の時代を経て、二人のこれからの出会いがどう描かれるかが、楽しみです。
「晴天を衝け」を見続けている理由を3つ挙げてみましたが、人によってそれぞれ違うでしょう。
今回の大河ドラマは、オリンピックやパラリンピックで放送回数が減ってしまいましたが、これからもドラマでの栄一の活躍を楽しみたいと思います。