以前、ファクトフルネスという本を読んだときに、普段イメージとして持っている、例えば「世界がどんどん悪くなっている」とかの印象が間違っているということが詳細に説明されていました。
この本の中のエビデンスのあるデータによって、貧困にある人は、過去20年で約半分になり、世界の平均寿命は70歳を超えるということを知りました。
つまり世界は、確実に良くなっているのです。
なぜこのように思い込むかというのは、人間が物事のポジティブな面よりもネガティブなものに気づきやすい本能によるものだということです。
この本を読んだときには、目から鱗が落ちたように感じたものです。
ですが、一方ではいまだに悪くなってきたという印象を持っているものがあります。
日本では、所得格差が広がっているというものです。
これって、アベノミクス以降ひどくなってきたと言われています。
そしがやもそういうイメージを持っていました。
ですが、逆に格差は、縮小しているという記事を読みました。
厚労省が計測した当初所得ジニ係数によれば、1999年以降上昇ペースが上がったが、直近2014年から2017年にかけては低下に転じている。巷で広がっているアベノミクスで格差が拡大したいう噂は誤解であり、むしろ貧困層の雇用所得環境改善で格差が縮小に転じているといえる。
ここで取り上げられているジニ係数とは、イタリアの統計学者コラド・ジニにより考案された所得等の分布の均等度合を示す指標です。
大学の経済学の授業では必ず習うもので、所得格差を図る指標です。
ジニ係数の値は0から1の間をとり、係数が0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が拡大していることになります。
一般に0.5を超えると所得格差がかなり高い状態となり、是正が必要となると言われています。
この記事によると2014年からは、世間では信じられているのとは、逆に所得格差が縮小しているという内容です。
かなり意外です。
メディア等では、格差は広がっているという記事ばかりなので、「ほんまかいな」と思いました。
再分配後の格差を判断するには「再分配所得ジニ係数」がより重要。税・社会保険料、現金給付、医療・介護や保育などの現物給付を合わせた所得再分配の状況を反映したほうがより現実に近い。実際、再分配所得ジニ係数は2000年代後半以降低下トレンドに転じている。そして、ジニ係数の改善度を税と社会保障に分けると、社会保障による改善度が相対的に大きく上昇していることからすれば、公的年金をはじめとする社会保障による再分配が効いており、当初所得ジニ係数の動きのみで判断すると、格差が拡大しているとミスリードしてしまうことになる。
また再分配所得ジニ係数によると2000年代後半以降低下しているという事実を紹介しています。
この内容を読むといかにいままで自分たちが印象によってミスリードされてきたかということが分かります。
感覚や格差の実態を表さない指標を基に安易に格差が拡大していると判断すると、経済政策の判断を誤る可能性があり、多くの国民が経済成長の恩恵を受けられなくなる可能性がある。デフレギャップが大きく残存する現局面では、総需要を持続的に増加させ、一刻も早く経済の正常化に結び付ける政策が優先されるべき。
この記事の結論は、総需要を増加させ、経済の正常化に結び付ける政策が優先されるべきというものです。
つまり所得格差是正よりも経済のパイを増やすことが重要だということです。
この記事を読んで感じたことは、経済においてもメディアで言われている感覚や印象ではなく、データに基づいた事実によって判断すること大事だということですね。