コロナ渦では、メディアでは、国内の経済状態が悪くなっているとニュースばかりです。
テレビをつけると、酒が提供できなくなったり、営業時間が短くなったりで経営状態が悪くなり、苦境におちいっている飲食店がよく報道されています。
こんなニュースを目にすると人は、本当にネガティブになってしまいます。
ですが、意外にも20年度の税収が過去最高になったという記事を読みました。
2020年度の税収が60.8兆円と過去最高を更新した事実には驚かされた。
新型コロナウイルス感染で経済活動が縮小する一方で、コロナ対策で歳出が途方もなく膨らんで、財政再建はもう無理かと思っていたが、わずかばかりの光明を見いだせるようになった思いだ。
税収の上振れで、財政の中長期試算による基礎的財政収支の黒字化が計算上は3年前倒しされ2026年度に実現することになる。
2020年度の税収が60.8兆円と過去最高になったというのは、筆者のような経済の専門家をも驚かせたようです。
2020年度は、もろにコロナの影響を受けたので、このように税収額が増えたのがそしがやにとっても不思議です。
要因の一つには、消費税率が19年10月に引き上げられたことがある。
19年度は、税率が半年間だけ10%だった。20年度は、1年間ずっと10%だった。その効果もあって、消費税収は前年より+2.6兆円増えた(前年比14.3%増加)。
理由の一つとしては、消費税を上げていますが、これは予想していたことでしょう。
ですが、もう一つの理由が意外なものでした。
コロナ禍での外出や営業自粛、休業での打撃が言われてきたが、法人税収は前年比4.1%も増えた。
法人税が4.1%も増えたというものです。
これは誰も予想していなかったものでしょう。
メディアの報道だけだとそしがやも思いもしなかったものです。
日銀短観の20年度の経常利益は、全規模・全産業で前年比▲20.1%だ。しかし、そのうち製造業は前年比▲3.8%とマイナス幅は小さい。
当期純利益ベースでは、全規模・製造業が前年比14.3%と増益だった。これは、20年夏頃から中国向け輸出が回復して、さらに米国向けの輸出も21年1~3月にかけて盛り返してきたことが効いている。
この記事によると製造業が純利益ベースで14.3%と増益だったというものです。
それは、中国や米国向けの輸出が増えたことによるものです。
コロナ禍では企業収益は二極化した。飲食サービスや宿泊、娯楽、航空・鉄道などが大打撃を受けた半面で、製造業や情報通信、運送などは健闘している。
また業種によって収益が二極化したという分析もしています。
製造業等の業界が健闘したことが収益に寄与したということです。
投資家の立場でいえば、コロナ渦でも業界によっては、投資のチャンスはあるということです。
さらに規模別の収益構造の問題がある。
法人税の課税ベースとなる所得の構成は、大企業が6割を占めていて、中堅、中小企業はそれぞれ2割でしかない。
また規模の収益構造の問題もあるとしています。
もともと大企業が法人税の6割を負担してきたというのです。
確かにテレビで苦境を紹介される飲食点は、いずれも規模の点は、小さいものです。
これまでも税収の面は、あまり寄与していなかったとのこと。
こういう記事を読むといかにメディアで取り上げられる内容がネガティブなものに偏っているかが分かります。
とはいいつつもメディアばかりを責めることはできません。
100万円損した場合の方が、同じ額だけ得した場合に比べ、人間の心理への影響は、2倍多いということが経済心理学では言われています。
つまりネガティブな方がニュース価値が高いので、メディアも積極的に記事にするのでしょう。
しかし、いつも景気の悪いニュースばかりだと気持ちが沈んでしまいがちなので、たまにこういう記事を読むとちょっとうれしくなってしまうのは、確かです。
21年度以降の財政運営でも税収増加を歳出の追加で使ってしまうと、基礎的財政収支の黒字化時期を早めることができなくなる。
せっかく予想以上の税収が生まれたなかで何とか財政規律を取り戻して、将来収支のつじつまが合うように財政健全化計画の立て直しを図りたい。
この記事の最後では財政規律を取り戻し、財政健全化を図る好機だとしています。
その通りだと思います。
あとは、ポピュリスト的な政治家が支持を集めないことを願うのみです。