以前、オーストラリアを旅行したことがあります。
その時のガイドは、現地に住む日本人の30歳代の男性でした。
会話は普通に日本語でしていましたが、小学校のころにオーストラリアに移ってきたということで、英語もネイティブの発音でした。
ですが、日本語の会話はできても、読み書きができないと言っていました。
ひらがなとカタカナしか読めないとのこと。
漢字がまったくダメなようです。
ちょっとびっくりしましたが、こういうことってあるようです。
こんな記事を読みました。
年々その数を増やしているインターナショナル系スクール。中でも人気の高止まりが続いているのが「プリスクール」とよばれる、英語で保育を行う幼稚園や保育園の存在だ。しかし、幼少期に英語だけの環境で過ごしたことの代償を負うケースも出てきている。
英語の幼児教育です。ですが、反面、代償もあるというものです。
卒園後は地元の公立小学校に入学、すると、日本語の読解力が低く、勉強で苦労する面が出てきたのだと話す。
特に遅れを感じたのは中学受験を目指し、塾の受験コースに入ってから。国語の読解力の問題で苦戦しただけでなく、思考力を求められる受験算数においても、問題を一読しただけでは問われている意味が理解できなかったと言うのだ。
これは、幼い頃に渡米、帰国後も小学校に入るまでインターナショナル幼稚園で過ごしてきた高校1年生のケースです。
日本語の理解にだいぶ支障が出ているようです。
「英語ができなくちゃこれからは生きていけない! と思っていたので、英語をなんとか忘れないようにしなくてはと、家での絵本の読み聞かせも全部英語の本にしていました。今思えば、英語での生活は園に任せて、自宅では高額な英語教材を与えるよりも、日本語の絵本を読んであげるべきだった」
母親は、当時を振り返って後悔しています。
これって、幼児期の英語教育の問題点を突いていますね。
日本語を習得する前に英語だけの教育をすると母語である日本語が不十分なままになってしまうということでしょう。
最初に取り上げたオーストラリアに住んでいるガイドの日本人なら問題ないでしょうが、日本に住むつもりなら、日本語の教育が大事だということですね。
大学入試センターで帰国子女における言語能力について調査したところ、「何カ国もの言葉を話すことができる!」と保護者が話していた子どもでも、実際それぞれの言語能力を測ってみると、残念なことに在籍学年の学習には到達できる言語能力ではなかったケースも存在する。
なかには、高校生なのにどの言語も小学生レベルの日常会話程度の言語能力しかないという子もいたと言う。
両方とも言語能力が低いままの子供もいるとのことです。
これはダブルリミテッドというそうです。
ちょっと残念ですね。
「親御さんが、その後の学校教育をどこで過ごさせたいかです。初等教育でも英語を教育用語として使う学校に進みたいのならば、英語漬けの毎日で問題はありません。ただ、日本の公立など、日本語を教育用語として使う学校への入学を希望する場合は家庭で日本語の補強をしてあげる必要があるでしょう」
最後は、こう締めくくっていますが、安易にバイリンガルを目指すことのリスクを述べています。
子供に英語を覚えてもらいたいと考えている親にとっては、重要な指摘ですね。
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