通っている大学院の授業で先日、芥川賞の模擬選考会をしました。
日本文学の授業なのですが、すでに候補作4作が発表され、来月17日に本来の選考会が開かれるので、授業の中で芥川賞を選んでみようという企画でした。
かなり面白かったので、紹介してみたいと思います。
候補作は事前に読んできて、学生が各作品ごとに〇、X、△という評価をするものです。
これは実際の芥川賞の選考でも行われているやり方のようです。
〇が1点、Xが0点、△が0.5点になり、各作品ごとに点数をまとめ、出席者の過半数以上の点を占めたものが、芥川賞に該当するというものです。
候補作は以下の作品です。
▽今村夏子「星の子」(小説トリッパー春季号)
▽温又柔(おんゆうじゅう)「真ん中の子どもたち」(すばる4月号)
▽沼田真佑(しんすけ)「影裏(えいり)」(文学界5月号)
▽古川真人(まこと)「四時過ぎの船」(新潮6月号)
最初の投票で、学生たちの点数が一番高かったのは、「星の子」で9点、次が「影裏」で7点、残りの2つは、5.5点でした。
出席していた学生は、12人でしたから、6点以上の作品が該当するということになります。
そのあとでそれぞれの作品に対してコメントをして、最後にまた点数をつけなおすというやり方でした。
結論から言うと、最終的には、「星の子」が8点でやはり一番点数の高い作品になりました。次点だった「影裏」は、6点になりました。
そしがやは、どうしたかというと「星の子」と「影裏」に〇を付けました。
ですから、一番順当な選び方をしたようです。
2つのうちでは、「星の子」が芥川賞にふさわしいと思いました。
この作品は、両親が新興宗教に関わっている状況を、少女の視点で描いたものです。
小学生から中学生にかけての少女の見た世界の描き方が優れていると感じました。
少女とは言え、作家である大人が書いていると大人の視点が混じってしまうものですが、あくまでも少女の目に徹していて、見事です。
さて、実際の芥川賞の選考はどうなるでしょうか。
当たるかどうかわかりませんが、教授によると文学界の下馬評とそんなに外れていないとのことでした。
7月17日の発表が楽しみです。
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