
投資系の本を読むと蓄財して、老後に備えようといった趣旨のものが多いです。
反面、貯めることだけで人生を楽しまないと後悔するといった内容の本もこの頃登場してきています。
例をあげるとDIE WITH ZEROがあります。
今回読んだ記事は、貯めすぎた人生に後悔しているというものです。
田村正彦さん(仮名・66歳)は、昨年、勤続40年の会社を退職しました。手元には退職金の残りも含めた資産が約8,200万円。妻・雅代さん(同い年)と2人で年金生活(月24万円)を送っています。「生活が苦しい」と悩むシニアも多いなか、羨ましがられるような老後といえます。
しかし、正彦さんは力なく微笑みます。
「ここまで貯める必要はなかった。お金はあるのに、もう使う元気がないんです」
66歳で資産が約8,200万円で年金が月24万円もあれば、普通だと人生の成功者でしょう。
ですが、田村さんは、後悔をしているようです。
幼少期の経済的困窮から節約体質になっていた田村さんですが、30歳で結婚してからもその体質のままでした。
子供が一人生まれて、教育費だけは支出を惜しみませんでしたが、他への倹約ぶりは変わりませんでした。
65歳になって退職を迎えましたが、そんな長年の節約体質から妻との退職祝いの旅行計画を立てても「今は高すぎる」と実行できません。
そんな折、正彦さんの持病の腰痛が急速に悪化し、長距離移動が難しくなり、旅行する気力のなくなっていきました。
老後に人生を楽しもうと考えていたのですが、その時期になったら健康が失われて、体がついて行けなくなったということでしょう。
この田村さんの人生を見て、やはり人生はバランスが大事だと思いました。
若くて、元気な時にしか楽しめないこともあります。
田村さんは、家族旅行をしたこともなかったようです。
約8,200万円を貯めたことは立派ですが、家族の思い出というお金では買えないものを失ったということです。
ただ一方でこれだけの資産を残し、経済的な不安がないことは、これからの老後を考えると、見事だとも言えます。
世間では、この年齢で仕事をしなくてはいけない人も多いのも事実だからです。
老後資金を貯めることは大切ですが、貯めること自体が目的になってしまうと、本来の人生の楽しみを奪ってしまいます。 健康で動ける期間には限りがあります。経験や思い出にお金を使うこと。貯める先にある「使うこと」が何よりも大切なのです。
最後にこの記事は、こんなコメントで締めくくっています。
貯めることと人生を楽しむことの両方のバランスを保つことが大事だということでしょう。
同感です。
ただ実際には、この田村さんのケースのようにバランスをとるのは、難しいのも確かです。
個人的な感想としては、田村さんには、健康を回復して、まだ67歳ですから、これからの人生を楽しんでほしいですね。