そしがやのリタイア日記

リタイアした公務員の日々の生活を書いていきます。学生生活、投資、などなどです。

「金融所得課税」は引き上げるべきか?

 

日本の所得税は、累進課税で所得が高くなるほど税率が上がるという制度になっています。

これは、実質的な平等を確保するということで多くの人に支持されているものだと思います。

一方で金融所得については、一律約20パーセントで金融資産を多く持っている金持ち優遇ではないかとの批判があります。

そんな金融所得課税についての記事を読みました。

 

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しかし、金融所得については、復興特別所得税を除けば、「所得税15%」と「住民税5%」の合計20%の税率になります。この税率は一律なので、どんなに高額の金融所得があっても20%の税率で済みます。つまり、1,000円の金融所得の人も1億円の金融所得の人も同じ20%の税率ということです。お金持ちほど金融所得が多いといわれていますので、不公平だと批判がなされているわけです。

 

金融所得課税については、令和4年度の税制改正大綱では、株価の影響が懸念されて、改正は見送りになりました。

ですが、今後も議論が続くことは予想されます。

金融所得税制は、常に金持ち優遇という批判にさらされます。

 

いつも政治的には、金融税率を上げよ、という意見が出てくるのは、分かります。

日本では、投資をする人の割合がまだ少ないので、政治家たちがこういう発言をしがちです。

ですが、これで本当に日本の発展にとって良いことなのでしょうか。

 

この記事では、株価を上げるためにはむしろ金融資産課税は、減税すべきと主張しています。

それは、金融所得課税の変化に株価が敏感に反応するからです。

 

政府は、国民の資産形成のために「NISA」などの非課税制度を創設しました。

株価が上昇して、国民の資産が増え、企業活動が活発になるのが、国民全体にとっての利益です。

ですが、金融資産課税は、それらに逆行します。

「NISA」などの非課税制度を推進する政府の政策と金融課税強化とは矛盾します。

 

このような話をすると、「お金持ち優遇」との批判が再び出てきます。しかし、年収1億円以上のお金持ちというのは、2万人程度しかいません。仮に増税するとなれば、2万人から多く税金を取るために、何千万人ものお金持ちでない一般人が増税されてしまうことになります。

 

この記事の一番のキモは、この部分だと感じました。

金融資産に課税を強化することで金持ちだけでなく、一般の投資家にとっても増税になってしまうということです。

 

もし、どうしても金融所得課税を増税したいというのであれば、一律の増税ではなく、たとえば、年間の金融所得が3,000万円を超える場合には、申告納税を義務付け税率を上げるなどの変則的なものにしたりなどのやり方もあるように思います。あるいは、総合課税に一本化して累進課税にするという方法もあります。

 

この記事では、金融資産の大衆課税を避けるために具体的な提案をしています。

いずれも検討に値すると思います。

個人的には、金融資産の分離課税をやめて、総合課税にするのが制度もシンプルになって、分かりやすいです。

とはいえ、これだって、株価に対しては、マイナスの影響があるからなかなか実施できないという面がありそうです。

 

1.お金持ちからなんとしてでも税金を多くとるべきであると考えるのか
2.株式市場活性化のために、お金持ちも含めて、できるだけ低い税率にして投資を促すべきなのか

 

最後にこの記事では、金融課税をめぐる主張を二つに集約しています。

これって簡単には結論が出ない永遠の課題と言えそうです。