会計検査院は、国の省庁の無駄遣いを点検する役所です。
時々ニュースで見かけることがありますが、おおむね会計検査院は、適正な仕事をしていると思います。
ですが、中には、かなり違和感を感じるときもあります。
造るあてのない記念貨幣のために材料の金をためすぎ――。財務省が保有する金塊などを会計検査院が調べたところ、2019年度末時点で計129・49トンに上っていたことがわかった。
財務省が金塊を129・49トンためていたというものです。
ただ一国の財務省が所有する金として、この量が多いのか少ないのかは、正直わかりません。
アメリカ等の主要国との比較が欲しかったですね。
検査院が調べた19年度末は14年度から4・54トン増えた一方、記念貨幣は減少傾向だ。1986~87年の昭和天皇在位60年の記念貨幣は金220トンを使い1100万枚を発行したが、97年以降は使用量が激減。18~20年に発行された東京五輪記念貨幣も、使われた金は1・91トンだった。
昭和天皇在位60年の記念硬貨で使って以降、金の使用量が激減してきたということがわかります。
検査院は「材料として使う見込みがない金を保有し続けるのは不適切」と指摘。売却の検討などを求めたところ、同省は今年3月に外国為替資金特別会計に80・76トンを5420億3148万円で売却した。取材に「金を一気に市場に流すわけにもいかず、どう処分するかは長年の課題だった。今回はたまたま売却先が見つかった」とした。
そんな使い道のない金塊に対して、保有し続けるのは、不適切と指摘したのが、会計検査院です。
検査院の立場からすると当然なんでしょうが、世界的に見て、価値を持つ金を安易に売却させるというのには、どうなのかなと違和感を持ちました。
会計検査院は5日、国費の無駄遣いや不適切な経理など改善が必要な事業が210件、2108億円あったとする2020年度の決算検査報告を岸田文雄首相に提出し、公表した。新型コロナウイルスの感染拡大のため、実地検査を前年度より4割抑制。このため、指摘件数は1994年以降最少だった昨年度を下回った。
一方で会計検査院は、同日付の記事で2108億円もの国の無駄遣いを指摘しています。
こういう内容のことは、本来の会計検査院の仕事で納得できます。
ですが、財務省の金塊のケースは、ちょっと違うような気がします。
この最初の記事に対するコメントを見ても検査院の仕事ぶりを評価するものも勿論ありました。
ですが、今は金本位制ではないものの、ただの紙切れになってしまうかもしれない外国通貨や外国国債を持つよりは、古来から価値を持ち続けてきた金を所有することが日本円の信頼性維持に役立つという意見もありました。
そしがやもこの意見に賛成です。
いざとなったら信頼できるのは、金だというのは、今までの歴史が証明していることです。
ですから、会計検査院の普段の仕事ぶりは、評価しますが、今回の財務省への指摘は、かなり違うのではないかと感じました。
この記事では、会計検査院の財務省への指摘に対するメディア側の疑問は、提示されていませんが、会計検査院を絶対視するのではなく、疑問があれば、充分に取材して、問い質してほしいものです。