「けもの道の歩き方」千松信也著を読みました。
京都で猟師をしている著者の日々の生活を書いたものです。
前作の「僕は猟師になった」が面白かったので、図書館に早速予約しました。
今度ようやく順番が回ってきたので、読むことができました。
前作を読んだときは、京都という都会に住みながら、本業の運送業をして、猟師をしているというのが新鮮でした。
今回は、前作から大分時間が経ち、著者も結婚し、40歳代になり、子どもも二人でき、落ち着いた生活をしている様子です。
猟師をしながら、日々感じたことを書いたものです。
前作を読んだときは、猟師ってやってみたいな、と思いながら、読んだのですが、今回は、ちょっと猟師であることは必ずしもそうでもないな、と感じました。
マダニやツツガムシといった寄生虫だけでなく、除草剤や産業廃棄物による有害物質が野生の動物にはあるというのは、ちょっと怖い気がします。
そんなものの入った肉は食べたくないです。
自然というと何かきれいな印象を持っていますが、そうでもないというが、わかりました。
今の人間が好きな自然というのは、人工の管理された自然なのです。
実際の自然は、いろいろな危険と隣りあわせです。
著者も現代人のイメージする自然というのは、人間の手が入ったかなり人工的なものだと書いています。
著者の住む京都のシカによる森林の生態系被害がこの本には描かれていて、かなり深刻です。
そんなシカもオオカミもいない、カタクリなどの野草が咲き乱れる自然というのは、「本来の自然」ではないとも述べています。
人間は、自然というのを美化してきたんでしょうね。
そんな自然ですが、やっぱり猟師は面白そうです。
著者は、冬の猟期だけワナ猟をしていますが、こんな生活もいいなって、感じます。
それに具体的に書かれた猟の仕方が参考になります。
日本には、いろんな猟の仕方があったんだということが分かりました。
ですが、多くは、かすみ網のように禁止されているようです。
猟師というのは、昔も今も本来の仕事の合間に行われていたようですが、リタイアした人間には最適の仕事かなって思いましたね。
一度経験することができるなら、やってみたいです。
ですが、東京ではなかな無理なんでしょうね。