大学へ通うときには、必ず行く場所があります。
図書館です。
授業の前や後に立ち寄ります。
授業の関連した調べ物をしたり、新聞や新刊の雑誌を読んだりしています。
大学の図書館で働くスタッフは、大学の職員ではなく、派遣会社の社員のようです。
そのせいか、頻繁にスタッフが入れ替わります。
給与等の条件が悪いのかな、と想像していました。
そんな大学図書館に働く男性の記事を読みました。
カツヒサさんが勤める図書館で、カウンタ―の受付や返本業務を担うスタッフは20人ほど。全員が大学から業務委託を受けた会社に雇用されるパートやアルバイトといった非正規労働者である。このうち半分が図書館司書の資格を持っている。
カツヒサさんの時給は最低賃金とほぼ同額。5年間勤務する中で、賃金アップは地域別最低賃金が改定されるタイミングに合わせて数円から数十円上がるだけだった。年収は100万円に届かないうえ、図書館側の都合で突然シフトをゼロにされるので、収支の見通しも立てられない。
カツヒサ(仮名)さんは、31歳の男性です。
非正規で大学図書館に勤めていますが、スタッフの数からいうとそしがやの通っている大学の図書館のスタッフ数と同じくらいです。
多分、平均的な大学の図書館といったところでしょう。
予想していたとはいえ、かなり低水準の労働条件です。
法改正で月20時間以上勤務の場合は、社会保険に入らなければならないということになったのですが、図書館での月の勤務時間が20時間未満に抑えられてしまったとのこと。これって、法改正の趣旨に反しますね。
カツヒサさんのことに話を戻そう。積もりに積もった不満があったというカツヒサさんは、開館日程の変更をきっかけに個人加入できるユニオンに入った。組合員になったのは1人だけだったが、職場の不満や待遇に関する要求を託してくれる同僚たちはいた。こうした声を受け、開館日程の変更にともなって何らかの割り増し手当を支払うことや、時給アップなどを会社に求めた。しかし、いずれもゼロ回答。
そんな職場の在り方に疑問を持ったカツヒサさんは、個別に会社に賃金等のアップを申し出ますが、無視されてしまったので、ユニオンに入ります。
そこで同じように時給アップを申し出ますが、やはりゼロ回答でした。
その上、ユニオンに入ったことが理由か、ほかの原因があったのか、分かりませんが、カツヒサさんは、3月末で解雇されてしまいました。
こういうことって、大学の図書館だけでなく、非正規の多い職場では、どこでも常に起きていることでしょう。
多分、日本人の賃金が30年前と変わらないのも、こういう非正規が増えたのと無関係ではないと思います。
カツヒサさんにとっては、理不尽なことかもしれませんが、こういう状況って、今後も続くような気がします。
この事例でいえば、大学の立場からすると、少子化で学生の数も減るし、経営上は、コストを抑えなくてはいけないので、人件費というのは、コストカットの最初のターゲットにされがちだからです。
普段、利用する図書館に関わる記事を読んで、ある程度は予想していたとはいえ、このような内実を知りました。
やはり大学図書館も日本社会の厳しい雇用の現実からは、逃れられないようです。