東京オリンピック・パラリンピック(以下オリパラ)までの日々が、残り少なくなってきました。
メディアによると世論調査では、開催に反対の意見が多いとの報道もありました。
にもかかわらず政府は、開催という方向で現在は、進んでいるようです。
先月、朝日新聞がオリンピックの開催の中止を求めるとの社説を載せました。
新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、東京都などに出されている緊急事態宣言の再延長は避けられない情勢だ。
この夏にその東京で五輪・パラリンピックを開くことが理にかなうとはとても思えない。人々の当然の疑問や懸念に向き合おうとせず、突き進む政府、都、五輪関係者らに対する不信と反発は広がるばかりだ。
冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう菅首相に求める。
この社説では、このコロナ渦では、国民の健康を守るためにオリンピックの開催の中止を決断するように首相に求めています。
ここまではっきりと開催中止を求めたのは、メディアとしては、初めてでしょう。
その後、この主張については、オリパラに反対していて、そのスポンサーを降りないのは、おかしいとか、夏の甲子園はどうするのか、との反論もなされています。
その後、朝日新聞は、時々読んでいますが、スポーツ欄を見るとオリパラがらみの報道は、相変わらずされています。
オリパラの日本代表が決まったとかです。
このような記事を読むとちょっと違和感を感じます。
新聞社の総意を示す社説でオリパラに対して開催中止を首相に求めている新聞社がスポーツ欄では、オリパラがらみの報道をしている。
首尾一貫してなくて、何か不思議です。
社の総意がオリンピックに反対なら、オリンピックがらみの報道は差し控えるべきでしょう。
でないと社の方針が一貫してないように見えます。
また、実際にオリパラが始まったら、どう報道するでしょうか。
始まると中止を求めた社説とは、異なって、オリパラの報道はするのでしょうか。
日本選手が金メダルを獲得したりするとその選手について、感動的なエピソードを交え、報じるような気がします。
もしそうなると「開催前は反対でも、日本人選手が金メダルを取れば盛り上がり、最後は感動で終わる」との政府高官の発言の術策にハマったようなものです。
また最大のスポンサーであるアメリカのテレビ会社のトップの「開会式が始まれば、誰もが忘れて17日間を楽しむ」との発言を利するものです。
こういうスポーツ欄の報道って、中止を求めた社説とは、矛盾しないのでしょうか。
今朝こんな記事を読みました。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長らでつくる専門家有志の会は18日、東京五輪・パラリンピックを報道するに当たり、感染拡大につながりかねない報道を避けるよう求める要望書を日本新聞協会と日本民間放送連盟に申し入れたと発表した。
要望書では「パブリックビューイングで熱狂する観衆」や「沿道でマラソンを応援する観衆」が記事や映像で報道されると「人々に感染症対策の上で脆弱な行動を喚起しかねず、避けるべきだ」とした。
その上で「感染症対策との両立を考えれば、今回の五輪・パラがメディアだけを通じて経験するイベントにとどめる必要がある」との見解を示した。
専門家有志がオリパラでのメディアの感染拡大につながらない報道を申し入れをしたというものです。
これは当然でしょう。
こういう報道を受けて、朝日新聞がオリパラをどう伝えるのか、あるいは伝えないのかに注目していきたいものです。