「ポツンと一軒家」という番組をよく見ています。
山の中の一軒家をテレビ局のスタッフが訪ねて行って、その家に住む住民のことを紹介する番組です。
それぞれの家には、家族の歴史があり、いつも面白く視聴しています。
多くは、先祖からその地に暮らしていた人が多いのですが、中には、地縁がないのにそんな山林にあこがれて暮らしている都会育ちの人のケースもあります。
いずれも山の中での暮らしを楽しんでいるように思えます。
そんな山林に入植した漫画家の記事を読みました。
机にしがみつく暮らしが30年近く続き、ネタ切れ・蓄積疲労・倦怠。さぁ、どこに逃げるか、ということで出合ったのが、福島の山林でした。1万2000坪の山林は坪450円。手つかずの森に入植して、自分の理想に応じて開墾し、自力で丸太小屋を建てるぞと意気込む私に、『バッカじゃないの』と呆れ顔の嫁。でも、まさにその反応は正しかった。ガス、電気、水道等の生活インフラなしの山林に移住という私の提案は無謀でした。
これは、都会暮らしに疲れた漫画家が山林の生活に理想を感じ、入植したというものです。
都会暮らしが長い漫画家の気持ちはわかります。
ですが、漫画家の夫に対して、妻は冷静ですね。
最初は山のふもとのホームセンターで買ったカマ1本を手に踏み込んだものの、放置されていた山は荒れ放題。密生した雑木と林床には篠竹がびっしりと生い茂っていて、手で刈った切り株が竹槍状になってしまうんです。うっかり踏んだらスニーカーを突き破って大けがをしました。
カマ1本で踏み込むというのは、かなり無謀な挑戦ですね。
それから、500坪ほどの土地を拓きましたが、次の難問が生活拠点の小屋を造るための作業です。
切り株を1つ1つ引き抜のが大変で、中古のユンボ(油圧ショベル)を約80万円で購入し開墾を続けます。
ちょっとそしがやには、できないですね。
手掘りのときには気にならなかったんですが、木を殺しているという後ろめたさを感じるんです。自然と共生するどころか、破壊しているんじゃないかと。人並みに生活できる環境を整えるまでにかかった時間は約3年。でも、『逃避』がいつの間にか楽しい『挑戦』にシフトしていました。もし、山暮らしに『救済』を求めていたらくじけていましたね
最後には、楽しい『挑戦』だと考え直すことで環境を整える3年間を乗り切れたようです。
確かに山林に『逃避』や『救済』を求めていたら、続かなかったと思います。
こういう記事を読むと最初に取り上げた「ポツンと一軒家」に登場する都会から来た人たちも同じような苦労をしていたのがわかります。
ですが、テレビ番組では、そんな苦労を感じさせません。
多分、この漫画家と同じように楽しい『挑戦』だと思えるようになったからでしょう。
ただその陰には、途中でくじけてしまった、テレビには出てこない数多くの人たちがいるような気がします。
番外編としてテレビで取り上げてほしいですが、ちょっと番組にはならないかな。
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