先日、春休み明けで久しぶりに大学へ行く途中、いつも通る小さな公園にホームレスらしき男性がいました。
荷物の入ったいくつものバッグを手押し車に乗せ、ベンチに座って眠っているようでした。
比較的暖かい日だったので、気持ちよさそうです。
年齢はというと50歳くらいでしょうか。
この公園では、時々姿を現す男性です。
ホームレスは、いろいろな所で見かけますが、だいたい中高年の男性が多いようです。
ですが、28歳という若さでホームレスになったという男性の記事を読みました。
「あちこちさ迷い、仕事を探しながら面接などの前の日だけ漫画喫茶等でシャワーだけ借りて、身だしなみを整えてみたいな生活をしていたのですが、住所無し連絡取れる携帯番号無しなのでどこも雇ってもらえず先週とうとう残金も尽きてしまいました。~中略~就職に必要な履歴書や証明写真を買うお金すら無くなってしまいました。どうか助けてください……」(原文ママ)
これは、レイジさん(仮名、28歳)が市民団体でつくるネットワーク「新型コロナ災害緊急アクション」に助けを求めるメールの内容です。
この時には、ホームレス状態になって2カ月、所持金はついに16円になったいたとのこと。
ここ1週間は公園の水道水で飢えをしのいでいる状態でした。
なんか、悲惨な状態ですが、なぜここまで追い詰められてしまったのでしょうか。
レイジさんは神奈川出身。高校卒業後は建設機械メーカーの工場で期間工として働き始めた。期間工を3年満期で雇い止めにされると、系列の派遣会社に登録。今度は派遣労働者として同じ工場で働くことになった。
レイジさんは、高卒後、期間工として働き始めました。
正社員として働かなったことからボタンの掛け違いが起きてしまったように思えます。
その後、派遣労働を続けますが、知り合いからの誘いで居酒屋の店長になります。
店舗に住み込み、朝8時から深夜2時まで休みなく働いて週休1日と、体力的には厳しかったようです。
しかし、順調だった店もコロナの影響で閉店に追い込まれます。
閉店と同時に住まいを失い、日雇いで食いつなぎいだ後、自立をうたう施設に連絡して、生活保護を受け、無料低額宿泊所に入ります。
ですが、そこは悪質な施設で、ほとんどの生活保護費が居住費や食費として取られてしまったと言います。
そんな宿泊所の実態がわかり、生活保護を止め、日雇いとして働き始めます。
しかし、不安定雇用でホームレス状態になり、飢え死の危機を迎えます。
そこで、最初に紹介したメールを「新型コロナ災害緊急アクション」に送り、その担当者とともに改めて、生活保護を申請しました。
現在は、東京都が用意したビジネスホテルに入居しています。
こういう記事を読むと何がこのまだ28歳の男性をここまで追い詰めてしまったのかと考えさせられます。
いくつかの転機があったと思いますが、それぞれの場面で経験の少ないこの男性にアドバイスする人がいなかったのでしょうか。
例えば、最初に高校を卒業した時に期間工として就職していますが、高校の就職担当の教員は、何のアドバイスもしなかったのか。
正社員として働いていれば、また違う現在があった気がします。
父親とは不仲だったようですが、それだったら、母親は、息子に何のアドバイスもしなかったのか。
いくつか解せないことがあります。
また本人の対応もおかしいと感じることがあります。
同じ会社で期間工から派遣になったときに同じ業務なのに、給与が約350万円から約270万円へと下がっても何の疑問も持っていないようです。
細切れ雇用が当たり前だと思い込ませ、安易な雇い止めで路上に放り出し、生活保護を利用すれば悪質無低にぶち込む。そんな劣悪施設を1日も早く出ようと思ったら、寮付き派遣や日雇い派遣でも働くしかない。でも、不安定雇用だからいつ路上生活に戻ることになるかわからない――。20代の若者にそんな繰り返しを強いて、国や行政は本当にこのままでいいと思っているのだろうか。
この記事の最後では、行政に対する批判で終わっています。
その通りだとは、思いますが、それだけなのでしょうか。
この男性が相談する相手がいなかったことや、男性自身の判断の甘さも感じます。
高校での職業教育の中で現在の期間工や派遣の実態が教えられていたのでしょうか。
単純な行政批判だけでは問題は、解決しない気がしました。
「ずるずると生活保護のお世話になるのは申し訳ない。とにかく1日も早く働きたいんです。雇用形態はともかく今度は長期で働けるところを探します」
本人は、働く意欲は、かなりあります。
それが救いです。
ただ、もっと社会について勉強することがこの男性にとって、必要でしょう。
食い物にされないために。
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