20年ほど前、よく海外旅行をしていました。
ほぼ毎年のように夏や年末の休暇の度に世界中を旅行していました。
その時に感じたのは、日本って、意外と生活レベルが高いということでした。
例を挙げると、先進国と言われる欧州やアメリカのコンビニに行っても日本のコンビニとは、比べものにならないほど売っている物のレベルが低いのです。
サンドイッチでいえば、パサパサですし、それに圧倒的に種類が少ないと感じました。
ほかのものも同様です。
現在は、どうでしょうか。
最近海外から帰ってきた知り合いに聞いても、状況は、変わらないようです。
ですが、そんな恵まれた日本に住んでいても日本人は、悲観的です。
これは、ずっと変わりません。
そんな悲観的な日本人についての記事を読みました。
この記事によると日本人の65%は、「もっと多くの財産があれば幸せなのに」と思っています。
ロシアや中国について3番目です。
ほかの先進国とされる国は、4位のドイツでさえ、37%です。
アメリカに至っては、9位で16%です。
中国とロシアは、新興国ですからもっと財産が欲しいという気持ちがわからなくもありません。
ですが、日本は、世界第3位の経済大国であるのにかなり意外な結果です。
理由の1つとして、日本人の生まれ持った遺伝子が関係していると考えられます。
別名「幸せホルモン」と呼ばれる、セロトニンという神経伝達物質をご存じでしょうか。このセロトニンが脳内から減ると、人は不安を感じたり、気分が落ち込んだりしやすいと考えられています。
セロトニンの分泌量を左右するのが、「セロトニントランスポーター遺伝子」です。この遺伝子にはセロトニンの分泌量の少ない「S型」と、分泌量の多い「L型」の2種類があり、その組み合わせによって、「SS型」「SL型」「LL型」の3つに分かれます。
日本人が自分は、不幸だと思ってしまうのは、遺伝子が関連しているという分析です。
これは面白いですね。
SS型の遺伝子を持っている人は不安を感じやすい人、LL型の遺伝子を持っている人は楽観的な人、SL型はその中間ということになります。不安を感じやすいかどうかは、ある程度、生まれつき決まっているのです。
調査によれば、日本人の遺伝子はSS型が65%を占めています。SL型は32%、LL型はたった3.2%にすぎません。一方、アメリカ人は、SS型が19%。SL型が49%、LL型が32%という結果が出ています。
この記事によると日本人が不幸だと感じるのは、遺伝子のせいだというのです。
決して強欲だからではないとのこと。
では、なぜ日本人は心配性のSS型が多いのでしょうか。いろいろな仮説を立てることが可能だと思いますが、1つの考え方は、災害の多さが関係しているという説です。地震、津波、台風、火山など、日本は「災害大国」として知られています。もし、「なんとかなる」と楽観的にかまえていたら、いざというときに対応することができません。災害から自分や家族の身を守るために、日本人は不安遺伝子を育ててきたのです。
著者は、一つの仮説を立てています。
災害の多い日本においては、心配性の方が生きやすかったというものです。
これって、説得力がありますね。
災害大国の日本では、楽観的では、生きてこれなかったのかもしれません。
そんな不安症の日本人ですが、所得が増えれば、幸せなのでしょうか。
内閣府の「幸福度に関する研究会」の報告によれば、日本人の1人あたりの実質GDPは、1960年代から上昇し続け、50年で6倍になりました。しかし、人々の生活満足度はほとんど変わっていません。
財産があれば、幸せだと思ってきたのに、今までは、財産が増えても生活満足度は変わりません。
これって、よくわかりませんね。日本人の場合は、GDPと幸福度は、比例しないということでしょうか。
ほかの国は、どうでしょうか。
2019年のランキングでは、1位に輝いたのはフィンランドでした。2位はデンマーク、3位はノルウェー。イギリスは15位、アメリカは19位、フランスは24位、イタリアは36位、日本はそこから大きく下がって58位でした。これは先進国の中で最低です。
これは、2019年の世界幸福度ランキングです。
日本は、先進国最低の58位です。
こんなにも日本人は、不幸なのでしょうか。
物質的には、恵まれているのに、かなり不思議ですね。
日本が奇妙なのは、半世紀以上もかけて1人あたりGDPは右に向かって増えたのに、縦軸の幸福度は上がっていないということです。生理的欲求と安全欲求が極めて高いレベルで満たされているにもかかわらず、「まだ足りない」「もっともっと」といって、自ら不幸に陥っていることです。それが「幸福度ランキング58位」という悲しい結果を招いています。
今後日本の1人あたりGDPが増えても、決して幸せにはなれないという分析をしています。
ちょっと悲しいですね。
牛丼を食べて、「こんなにおいしいものがたった400円で食べられるなんて、自分はなんて幸せなんだろう」と感じるか、それとも「400円の牛丼しか食べられないなんて、自分はなんて不幸なんだろう」と感じるか。これをどう感じるかで、幸福度は決まるのです。
最後は、牛丼の例を挙げて、幸福のあり方について触れています。
儒教でいう「足るを知る」に近いような考え方です。
経済至上主義で来た日本人が、哲学を忘れてしまったということなのかもしれません。
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