前作を読んでから新作が出るのが待ち遠しかったですが、大家さんが亡くなっているというので、ちょっと読むのがつらい部分があるような気がしていました。
ですが、実際に手に取ってみると大家さんの死は、直接的には描かれておらず、ホッとしました。
週刊新潮に連作されていた時に、読んでいた作品もあったのですが、再読してもホロっとさせられました。
物語としても4コマごとにちょっとしたオチがあり、最後にも大きなオチがあって、ストーリー作りのうまい漫画家だと思いました。
漫画は、一度読むと再び触れることがないことが多いのですが、この作品は、何度読んでも飽きないです。
それは、矢部太郎と大家さんの「心の交流」が読者に伝わってくるからでしょう。
「心の交流」というと手垢のついた、何か安っぽい言い方のようですが、他には、適当な表現がありません。
前作でも感じたのですが、この漫画の面白さの本領は、大家さんとのエピソードでしょう。
例えば、アパートの更新のときに大家さんから矢部へプレゼントがあるのですが、余計な負担をかけまいと、トースターにしますと言ったら、大家さんの大好きな伊勢丹からかなり高級なトースターが届いたとか、です。
ちょっと浮世離れした、大家さんのキャラクターが伝わってきます。
ネット上で映像化の記事を見かけました。
東野幸治と矢部太郎が出席した刊行記念トークイベントのものです。
そこで「主人公の僕は、風間俊介くんで、大家さんは、八千草薫さんがいい」と東野幸治は、言っていましたが、これって、そしがやのイメージに近くて、なるほどと感じました。
読者それぞれのイメージがあるでしょうが、この二人は、個人的には、いい配役だと思いました。
映画でなくてもどこかのテレビ局でドラマとして、やってくれないかな、と願っています。
矢部太郎には、このシリーズではない漫画の次回作を期待していますが、正直な話、次回作は、難しいかもしれませんね。
それにしても今回の作品は、相方のトラブルがあったので、刊行を不安視していましたが、読めたのは、ほんとうによかったです。
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