昨日まで大学の学部の前期試験の試験監督をしていました。
去年に続いて2年目です。
リタイアしてからほとんど働いていませんが、唯一の例外がこの試験監督です。
時給は、1100円ほどです。
業務の内容からすると比較的時給は、高いと思います。ただ昨年との違いは、今年は、2年目ということもあって、チーフになることが多く、少し責任が増えたことでしょうか。
そんな時給ですが、いつも読んでいる橘玲のブログにこんな記事を見つけました。
安倍政権は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」で、最低賃金を「年率3%程度を目途として、全国加重平均が1000円となることを目指す」としています。これではぜんぜん物足りないとして、「最低賃金1500円」を掲げる「リベラル派」もいます。
政府は、全国加重平均で時給1000円を目指すとしています。
一見よさそうです。
2018年の全国平均の最低賃金は874円で、1日8時間勤務で約7000円、1カ月フルタイム(週5日)で働いて約15万円程度です。それが1000円になれば収入は14%増(月17万円)、1500円なら70%増(月25万円)になる計算です。これなら貯蓄をする余裕もでき、「老後2000万円不足問題」も解消するのではないでしょうか。
やはり全国平均の最低賃金は、1000円に行っていません。
まだ874円です。
それを考えると試験監督の1100円は、かなりいい数字だということになりますね。
ですが、最低賃金を上げることは、いいことばかりではないようです。
アルバイトが8人いたとして、最低賃金が1000円になると人件費が月17万円増えるので、売上が変わらなければ1人に辞めてもらわなければなりません。最低賃金1500円なら4~5人を解雇しなければ店はやっていけません。
だったら、最低賃金を上げても従業員を解雇できないようしたらどうでしょう。その場合は、新規採用が大幅に抑制されることになります。このとき真っ先に犠牲になるのは、学歴が低く仕事の経験のない若者たちでしょう。
最低賃金を上げると企業側の方は、かえって働く者に対してマイナスの行動をします。
従業員を減らすということです。
企業が存続するためには、当然のことかもしれません。
隣国の韓国では、短期間に最低賃金を50%以上も引き上げた結果、失業率が上昇し雇用不安が広がっています。なかでも低所得、低学力、低熟練の「3低」の労働者(弱者)がもっとも大きな被害を受けています。
韓国に例でいえば、最低賃金の引き上げが、結果的に一番弱いものにしわ寄せされたということです。
政府は、一番弱いものにために最低賃金を上げたはずですが。なんという皮肉でしょうか。
最低賃金を引き上げるとかならずマイナスの効果が生じるわけではなく、経済学者にあいだでもさまざまな議論があります。とはいえ、これが「劇薬」であることは間違いありません。
安易に「夢」をばら撒く前に、まずはこうした貴重な「社会実験」をちゃんと検討してはどうでしょうか?
最後にこういう形で結論付けていますが、いくつかの国の「失敗例」についても検討することは大事でしょうね。
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