テレビには、医療物のドラマは多いですが、その中でも「ドクターX~外科医・大門未知子~」はよく見ていました。
フリーランスの外科医が自分のスキルだけを頼りに大学病院の中で生きていくというストーリーでした。
一話完結型で最後には、どんな難しい手術も成功させてしまうという展開が気持ちよかったです。
見ているときは、この話は、ちょっと現実離れしているな、と思っていました。
フリーランスの医者が本当にいるのが、信じられなかったのです。
ですが、この本の著者は、「ドクターX~外科医・大門未知子~」の制作にも関わったフリーランスの麻酔医です。
まさにドラマで内田有紀が演じていた麻酔医と同じです。
そんな著者がフリーランスの医者の実情や医学界の現状を書いたのが、この本です。
ここで書かれているのは、抽象的な理想論や理屈ではなく、実際に医学界で生き抜いてきた女医の体験に基づいたものなので、説得力があります。
いくつか面白エピソードがありますが、麻酔科から始まったフリーランス医師の誕生のあたりが、著者が実際に麻酔医ということもあり、興味深かったです。
麻酔医というのは、手術でもしない限りはなじみがないのですが、スキルの違いが出やすいようです。
薬の量を間違えるとすぐに死に直結するからです。
だからこそ実力のある麻酔医からフリーランスの医師が出現したというのも納得です。
「有能は厚遇、低能は冷遇、無能は淘汰」という世界であり、市場原理の働く厳しい世界のようです。
著者は、100以上の病院を経験しているので、なるほどと思わせます。
著者は、日本の医学界に対してもいくつかの提案をしています。
その中でも医師には、「ダメ医師はすぐに解雇のできる」解雇規制暖和を導入することがヤバい医師を淘汰することにつながるというのは、もっともなことだと思いました。
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