前の大学に通っていた時に、生物学の授業を受けたことがあります。
その時に、ライオンのハーレムの話を聞きました。
ライオンは、1匹の雄ライオンが数匹の雌ライオンとその子供たちのグループで生活します。
ハーレムです。
ですが、常に若い雄ライオンの攻撃を受けます。
ハーレムの中心にいた雄ライオンが若い雄ライオンに負けるとそのハーレムは、新しい雄ライオンのものになりますが、前の雄との間に生まれた子供ライオンは、殺されることが多いというのです。
それは、新しい雄の遺伝子を持っていないので、進化論的には、当然のことだと述べていました。
同じことは、人間社会でも起きるようで、義父が自分の遺伝子を持たない前夫の子供を虐待することは、生物学的には、説明できるというものでした。
こういう話を聞くとかなりショックを受けますが、現実は、その通りで多くの児童虐待事件は、実父より義父からのものが多いのは、事実のようです。
このような事実に触れた記事を橘玲のウェブサイトで読みました。
目黒区で5歳の女児が虐待死した事件につづいて、千葉県で小学4年生の女児が父親の虐待によって死亡しました。このふたつの事件に共通するのは、児童相談所など行政をバッシングする報道があふれる一方で、メディアがぜったいに触れないことがあることです。
メディアも実は、義父からの虐待が多いことは強調しないようです。
あらゆる犯罪統計で幼児への虐待は義父と連れ子のあいだで起こりやすく、両親ともに実親だった場合に比べ、虐待数で10倍程度、幼い子どもが殺される危険性は数百倍とされています。逆に、実の子どもが虐待死する事件はきわめて稀です。長大な進化の過程で、あらゆる生き物は自分の遺伝子を後世に残すよう「設計」されているからです。――不愉快かもしれませんが、これが「現代の進化論」の標準的な理論です。
生物学の教授が授業で説明していたのと同様の内容を、この記事も主張しています。
確かに嫌な内容です。
そう考えれば、真っ先に事実関係を確認すべきは父親と長女の血縁関係です。報道では実子にように扱われていますが、戸籍上はそうなっていても、実際に血がつながっているかどうかはわかりません。
橘玲は、千葉の事件の親子関係について、疑問を呈しています。
メディアでは、実子のように取り上げられています。
目黒区の事件では、5歳の女児を虐待していたのは継父でした。仮に今回のケースでも父親が長女を自分の子どもではないと疑っていたとしたら、その行動を(すくなくとも)理解することは可能です。だとしたら、行政はDNA検査を促すこともできたのではないでしょうか。
橘玲は、DNA鑑定の必要性を主張しています。
ここまでするのは、ちょっと飛躍しているような気もします。
そしがや自身は、このケースに関してここまですることがいいのかどうかは、わかりません。
ただ、ほとんどの人がそこまでする必要があるとは考えないような気がします。
ひとつだけたしかなのは、「なぜ虐待したのか」を知ろうとせず、行政担当者の不手際を集団で吊るしあげて憂さ晴らししているだけでは、問題はなにも解決しないということです。このままでは同じような悲劇がまた起きるでしょう。
ただ橘玲の最後の主張には、同感です。
行政機関の不手際を吊るし上げるだけでは、解決しないとは感じました。
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