投資信託は、リーマンショックの前にいくつか購入して持っていたことがあります。
運が悪いことにリーマンショックですぐに下がってしまい、アベノミクスで価格を戻すまで6年ほど塩漬け状態でした。
その時に感じたのは、投資信託は、持っているだけで手数料がかかる信託報酬があり、所有している間は、払い続けなければならないことの負担が大きいということでした。
一番高い信託報酬は、1.68%のものがあり、毎月引かれていく金額が大きかったことが思い出されます。
アベノミクスで値を戻した段階で、投資信託は、全部売却して、個別株式投資に切り替えました。
現在は、投資信託は、一つも持っていません。
そんな投資信託ですが、こんな記事を読みました。
投資を考えている人が聞いたら、ドキッとするようなニュースが流れました。「投信で投資をしている個人の半数が損している」と、金融庁が2018年6月末に発表したのです。
金融庁が昨年6月に発表したニュースに関する記事です。
投信で投資した個人の半数が損をしているというのは、かなりインパクトのあるものですね。
ですが、事実でしょう。
この記事のライターは、このニュースに対して、こんな反論をしています。
先ほどの憶測が間違っているという反証を、書かせていただきます。私が知っている300人以上の個人投資家の実態です。
1. 投信を長期積立で買って、損をしている人はほぼいない。
2. 13年も毎月購入を続けている人の運用利率は年7.5%。
3. 良い投信を、2倍3倍に増えるまで保有し続けている。
このライターの挙げている反証ですが、上記の3点の説明の根拠がはっきりしないと感じます。
例えば、最初に「長期積立で買って、損をしている人がほぼいない」と述べています。
そしがやが挙げた信託報酬1.68%の例で言うと、10年間所有していると16.8%の信託報酬がかかります。
この信託報酬は、当時としては、安いものを選びました。
ほかに販売時の手数料のないものでした。
そのころとしては、珍しいものだったと思います。
100万円の投資信託を購入すると10年後には、手数料で16万8千円は引かれているということです。
ですから10年間でそれ以上の値上がりがないと損することになります。
これは仮に長期保有しても、どのタイミングでどの投資信託を購入したかということが大事になります。
無論儲かった人もいれば、損をする人もいたと思います。
ですから、長期積立をすれば、損をしている人は、ほぼいないとは言い切れないということです。
ほかの2点の根拠も示されていません。
2番目の「13年も毎月購入を続けている人の運用利率は、年7.5%」ですが、どういう投信でどのように運用していたのかが説明されていると説得力があると思いますが、具体的に説明されていません。
3番目も同じく具体的な説明がありません。
投資で資産を増やすために必要なのは、金融機関の選択なのか? 商品の選択なのか?
実は、どちらでも、ありません。もっとも大事なことは、投資の方針を適切に定めることであり、それを長期にわたって維持し続けること。それを妨害するのは人間の感情ですから、投資家自身が感情を制御して、理性的、合理的に振る舞うことが肝要。投資にまつわる感情とどう付き合っていくかを問うべきなのです。
最後にライターは、資産を増やすためには、「投資家自身が感情を制御して、理性的、合理的に振る舞うことが肝要」としています。
つまり投資家の精神論でこの記事を結論付けています。
ただ初めに触れられている金融庁の「投信購入者の半数が損している」というニュースは、銀行等の販売側のあまりにも営利的な営業姿勢を批判したものなのもかかわらず、この記事は、投資家側のほうに問題があるという視点に終始しています。
もうすこし販売側の問題点にも踏み込んでほしかったと思います。
この記事の内容は、かなり論点がズレていると感じました。
関連記事