先日、大学院の入学式が学部の新入生と一緒にありました。
父兄も二人まで会場に入れるので、かなりの数の父兄が来ていました。
入学式の翌日には、大学院の事務的なオリエンテーションがあり、その中には、奨学金の説明もありました。
大学が独自にやっている給与型の奨学金もあり、ちょっと関心を持ちました。
ですが、こういう制度は、もっと若い人に利用してもらった方がいいと考え、申し込もうとは思いません。
他には、貸与型の日本学生支援機構の奨学金の説明もありました。
これは、一部のメディアでは、若者を借金漬けにして、サラ金よりもタチが悪いなどと非難を受けているものです。
大学院の学生でも1000万円ほどの奨学金を受けている人も知っているので、奨学金についてどう考えたらいいのかと思っていたら、こんな記事を読みました。
現在、大学・短大進学者の2.6人に1人(38.5%)が奨学金を借りています。これは2005年の3.9人に1人(25.6%)から、10年で1.5倍に増えています(「日本学生支援機構について・2017年3月」より)。
利用者が増加する一方で滞納者に対する返還訴訟も急激に増え、自己破産をした人が過去5年で1.5万人を超えたと報じられるなど、多くのニュースで奨学金はワルモノのように扱われています。
かなりの数の学生が奨学金を受けていることは間違いありません。
それに伴って滞納者も増えているようです。
自己破産をした人が1.5万を超えたとありますが、かなりの数字です。
父兄にも、奨学金に対する不安を持つ人が増えてきたようです。
将来返せなくなったら子どもが自己破産してしまったり、親もその影響を受けてしまうのではないかという心配が生じているのです。
学費は4年間で国公立ならば250万円程度、私立ならば390万~530万円程度となっています。なかなかの金額ですが、これは学費のみです。生活費は別途必要です。
1カ月の生活費は、自宅から通学する学生は6万690円、実家から離れて一人暮らし(下宿生)なら11万7610円です。4年分(48カ月)の総額はそれぞれ約291万円と約564万円になります(全国大学生活協同組合連合会「第52回学生生活実態調査の概要報告」より)。
ここで注目すべきは実家住まいと一人暮らしの差額で、約273万円とかなり大きな額です。一人暮らしを始める際の初期費用(敷金礼金・家具家電・引越代金等)も加算すれば300万円を超えます。都市部で家賃・物価が高い場合は実家住まいとの差額はさらに大きくなります。1カ月当たり6万円程度の差額ですから、ほぼ住宅コストの負担の有無ということになります。
この記事の分析によると一人暮らしの学生は、学費と同等かそれ以上に生活費の負担が大きいということです。
ですから地方から出てきて、都市部の大学に入った学生は、親の仕送りかアルバイトか奨学金で学費と生活費を賄うことになります。
将来、奨学金が返せなくなる学生は、こういう学生が多いと述べています。
逆に言うと大学がある都市部に住んでいる学生は、実家ぐらしになるので、生活費の負担も少なくなります。
また就職も実家のある都市部ですれば、仮に奨学金をもらっても返すのは、それほど負担にはならないとのことです。
ですから都市部に住み、自宅から通える大学を選択する限りにおいては、奨学金を利用することをそんなに恐れる必要はないというのが、この記事の結論です。
ですが、ちょっとこの記事で残念なのは、地方出身者で地元に大学がなくて、どうしても都市部の大学へ行く場合の解決策が示されていないということです。
実際、そういうケースは、どう施策がいいのかは、財源をどう捻出するかという問題もあり、難しいのは、確かなのですが。
関連記事