普段、漫画は、読むことはないのですが、この本は、読んで面白かったので、取り上げてみたいと思います。
作者である芸人の矢部太郎は、新宿区内の大家さんの2階の部屋を借りて暮らしています。
この漫画は、矢部太郎と大家さんとの交流を中心として描いた作品です。
作者の矢部太郎は、名前は知っていましたが、芸人にしては、おとなしくて、いつも先輩から怒られているイメージがあって、あまり芸能人向きではない人という印象をもっていました。
ですが、この漫画を見ると彼には、意外な才能があったようで、プロの漫画家並の完成度です。
絵は、一見ヘタウマ風ですが、主人公の大家さんのキャラクターもよく描けています。
それにストーリーも最後にオチもしっかりあり、伏線もしっかり回収されていて、見事です。
その中でもこの漫画の最大の魅力は、ちょっと浮世離れした大家さんのキャラクターでしょう。
年齢は、87歳とかなり高齢ですが、デパートの伊勢丹へタクシーで乗り付けて、2000円のたらこを購入したりするエピソードがあったりして、変わっています。
ですが、3食とも自分で作り、身綺麗にもしていているといった風に、しっかりした面もあります。
高齢者の理想のようでもあります。
そんな大家さんと売れない芸人とのいろいろなエピソードがハートウォーミングです。
いっしょに旅行へ行ったりもします。
そしがやも上京してきて、何か所か下宿したり、アパートに住んだことがありますが、このような大家さんとの交流はなかったです。
この本を読んでいるとこんな大家との関係は、現代の奇跡のようにも思えてきます。
多分、大家さんと矢部太郎の人柄がなせる技なのでしょう。
殺伐とした面もある世の中ですが、こういう優しさもあるということを知って、心が暖まる漫画でした。
ちょっと嫌なことがあったときに読みたい本です。
それに続編も楽しみにしています。
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