ずっと通っている小説教室は、各四半期の終わりには現役の作家を招いて、受講生の作品の講評をしてもらいます。
昨夜は、テレビドラマ化された「ドS刑事」で有名な七尾与史の話でした。
いくつかの作品の講評が終わった後、第2部ということで「手っ取り早く面白いストーリーをでっち上げる方法」というテーマで話がありました。
いままでいろいろな作家がこの教室で話をしていますが、一番具体的な内容でした。
これまでに来て話した作家は、小説家になるためには、ストリー、キャラクター、文章が大事だとか、オリジナリティが必要だとか、一般的な話はしてくれるのですが、そのあとの具体的な小説の書き方は、受講生任せでした。
受講生へ丸投げでした。
自分で見つけろ、というスタンスです。
当然かもしれません。
具体的な方法を教えてしまったら、新しい作家が生まれ、自分のライバルが増えるのですから。
ですが、七尾与史は違っていました。
具体的で、ここで聞いたことを使えば、すぐにでも新人賞を受賞し、デビューできそうです。
その内容はというと、
エンタメ小説家になるために、必要なものは、才能ではないというものです。
必要なものは知識だというのです。
学問だというのです。
読者は、どういう状態に置かれれば面白かを知ればいいわけです。
数多く過去の作品を読んで、知識としてそういったパターンを頭に叩き込めばいい。
その勉強のためには、小説よりもシナリオを学んだ方がいいとも言っていました。
その具体的なパターンはというと、
今までに使われた、ある意味では手垢のついた、ベタなストーリーでいいというのです。
例としてあげていたのは、「ウエストサイドストリー」です。
有名なミュージカルですが、これは、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」のストーリーをそのまま使ったものです。
敵対する二つの勢力の間の男女が恋愛をする。
これって、誰にでも受けるテーマです。
誰もが感動するものです。
よく小説には、独創性が必要だと言います。
七尾によると編集者は、よく言うそうですが、実際に今までにないものを持っていくと、前例がないからとかで却下されてしまうそうです。
だから、一番読者に受けるのは、今までにあったベタなストーリーの組み合わせにすこしオリジナリティを加えたものが一番いいというものです。
納得しました。
これなら書けそうです。
またキャラクターについては、よくあるパターンのキャラクターは、それなりに魅力があるから生き残ってきたわけです。
だからそういうものを使わない手はないというのです。
例えば、ツンデレのキャラクターです。
最初は敵対していた相手が最後には自分に好意を寄せるというパターンはよくあります。
恋愛物では、最初にツンツンしているキャラクターが出てくると、主人公に最後はデレデレしてしまうのは、一種の約束のようなものです。
わかっていますが、面白いのです。
昨夜の話は、今までのものの中では一番面白いものでした。
実際的でした。
昨夜の教室の熱気はいままでとちょっと違いました。
また何人か作家がこの教室からデビューしそうです。
その中にそしがやも入りたいものです。
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